安達尊(あだち みこと)は、とにかく人の話を聞かない。




「ぁあっ、いや、待ってっ、んぁっああんっ」

玄関を入ってほんの数秒だっただろう。二つ分の通学鞄を投げ捨てて、尊が俺のベルトに手をかけたのは。

尊はそのまま俺の穿いていたズボンを脱がしたかと思うと、立ったまま俺の両脚を持ち上げて俺のお尻に熱い塊をあてがう。俺の下の口は、簡単に尊の肉棒を咥え込んだ。


「待ってって言っ、あっ、もうぅ」

速くなっていくピストンの衝撃で、俺の体は飛んでいくのではないかと思った。

「気持ちいいか?律樹っ」

「きもちいっ、から、もっ」

「もっとか」

「ちがっ、ひゃぁんっ、深いっ」

もう止めて、と言おうとしたら勝手に解釈した尊がさらに腰を激しく揺さぶった。

俺がイったと同時ぐらいに尊の精子が注がれる。しかしそれはすぐに逆流してボトボトと床にこぼれ落ちた。


(後で掃除するのは誰だと思ってんだよ!)

俺は我に返って尊を睨んでも、全然気づいていないのか繋がりを保ったまま部屋へ向かっていく。しかも、その間も腰を動かしてくるから休む暇がない。

ベッドに降ろされてもそれが止むわけでもなく、尊の満足するまで抱かれた。



尊は俺の「彼氏」だ。
しかし、それは俺にとって不本意なことだった。


半年前、俺はある意中の女の子に手紙を書いた。このご時世におよんで古風なラブレターを。

それを靴箱に入れる前にうっかり強風によって飛ばされて誰かの手元に渡った。


受け取った人のところへ行き、事情を話そうとした。

「すみません、それ落とし―――」

その人の手元から顔に視線を移したとき、俺の顔は徐々に青ざめた。


――――安達尊

この男を一言でいうなら「ヤバイ奴」。学校に来るのもまちまちであれば、来たら来たらで暴力沙汰を引き起こす。暴走族に入ってるだとか、警察を病院送りにしたとか、そこらへんの女という女を食い散らかしているだとか、実は少年院に入っていただとか、数えられないほどの噂がある。傍若無人で、極悪非道。先生も怯える頭の吹っ飛んだ破天荒ぶりは、全校生徒の脅威だった。

突然の安達尊の出現に一斉に逃げ出す生徒達は、俺のことを「あ、コイツ終わったな」という目で見ていった。


安達尊は手紙に視線を落としていた。

俺は「手紙なんていいや、今は自分の命のほうが大事!」と決意し、ゆっくり後ずさる。



しかし、はっきりと安達尊の目は俺の姿を捉え、逃げ出すタイミングを失ってしまった。もう腹を括るしかない。


「あの、拾っていただい「……るよ」

「え?」



「付き合ってやるよって言ったんだ」


初めて近くで見た安達尊の笑顔は、トラウマになるレベルで怖かった。





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