この計画には時間が必要だった。




普段であれば、持ち前の強引さで押し切っていただろう。権力と金のために。

汚い世界で生きていくためにはそれが必要だったから。


だが、

俺がこの世で1番手に入れたいと望んだものは、そう簡単には手に入らない。

金やコネなんざいくらでもあったが、あの契約だけはすぐにどうにかなるものじゃなかった。





「恭平様、準備が整いました」

「ああ」


「まさか、恭平様とあろうものが傘下の会社で働くとは思いませんでしたがねえ。しかも一般社員にまぎれて。もっと重要な役職与えましたのに」


「…山口、そうやってベラベラと口を走らせるな」

「は、申し訳ありません」


「くれぐれも誰かに漏らすなんてことがあれば、分かってるよな?」

「心得ております」



山口を睨むのを止め、普段着ているよりも格段に安いスーツのジャケットを羽織った。



「そしてこれが、和田裕美の情報を集めた書類です」

「ご苦労」


俺は山口から差し出されたファイルを受け取った。





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