9P〜14Pのサンプルになります。


「でも、あの、先生」
「ん?」
「俺、ちゃんと、修行してきました」
「おう」
「昼食の準備も済みました」
「おう」
「なので、触れても…いいでしょうか…」 
 ああ、そうだった。出来たら褒美をやるという約束だったのだ。
「おう、いいぞ!って、今?」
「…だめでしょうか…あ、汗臭いですか?」
 何故今汗の問題を出してきたのか意味が分からなかった。
「いや、汗臭いのは別にいいけど、昼取ってからでもいいんじゃないか?しかもお前、万全の状態じゃないだろ。技を試すにも休んでからの方が」
「待てません」
 ジェノスのそのあまりにも切羽詰った表情に、サイタマは面食らってしまう。
こちらに一歩一歩近づいてくるジェノスの瞳が心なしか潤んで見える。スローモーションのように伸ばされる手が、明らかに震えている。
「ジェノス?」
「…ずっと…ずっと…こんな日が来ることを望んでいました…先生」
 ジェノスの震える手がサイタマの白いTシャツの胸にそっと乗せられる。
 その手は一度胸を優しく愛撫して、すすっと上へ滑り、剥き出しの白い鎖骨を撫で、首筋を辿り、ふっくらとした頬を撫でる。それが余りに愛しさのこもった優しいものだったので、サイタマはこそばゆさと戸惑いでふるりと背を震わせた。
「ジェノス?」
 戸惑うサイタマをよそにジェノスはもう片方の手でサイタマの腰をそっと触った。
 いつもははみ出した裾を仕舞うその手が、今は反対に震えながらたどたどしくシャツの裾を引っ張り出した。
「お、おい!」
 熱をはらんだ手が裾からするっと侵入し、サイタマのわき腹をゆっくりと味わうように撫でる。
 ここの辺りでサイタマはようやく雰囲気がおかしい事に気が付いた。
 がばっと勢いよく両手でTシャツを脱がされると、待っていましたとばかりにジェノスの指がサイタマの胸に触れる。脇に4本の指を刺し入れて、親指でサイタマの胸の突起をゆっくりとこねくり回してきた。意味が分からな過ぎて、固まってしまっていたが、ようやくサイタマは意識を取り戻し、ジェノスの両手をぐわしっと掴む。
「ま、て、ちょっと待て、何やって、うわ、」
 制止の言葉さえも聞かず、ジェノスは右の乳首をくにっと摘まんできて、サイタマは堪らず声を上げた。
 触れさせてください、と言われ、許可はしたが、まさかそれが乳首だとは思うまい。ただただ驚いて石のように固まっていると、ふとジェノスの荒い息がすぐ頭上から聞こえ、サイタマはぎくりと体を強張らせた。
「先生…先生…夢のようです…俺は…先生」
 男が男の乳首を触っている、というのが異様な光景である事を、さすがの無知なサイタマでも理解できる。
掴んだままの手首をぐっと引っ張って乳首から離れさせようとするが、ジェノスの手はガンとして動かなかった。それどころか離すまいと脇の下に入れた手で益々ぐっと引き寄せられてしまう。
「あっ」
 ジェノスがサイタマの両乳首に少し爪を立てた瞬間、思わず声が漏れてしまった。
「痛いですか?・それとも…き、気持ちいいですか?先生、先生」
「な、なに言って…ちょ・・や、あっ」
 明らかに甘い喘ぎが唇から漏れてしまい、漏らした本人が1番驚いてしまう。顔が真っ赤になってしまった。
「、だから、離せって!!!!!」
 思わず大声が出てしまう。
「先生…すごく、可愛いです…はぁ…な、舐めていいですか?」
「は?舐める?何を?」
 この聞き方で、今触っている乳首以外ないのは分かっていたが、混乱のあまり聞いてしまう。当然のごとく、ジェノスは「・・・これを」とサイタマの乳首を指でくにくにと摘まんだ。
「あっ、あっ…だ、ダメ!絶対ダメ!」
「駄目、ですか?唇では…触れてはいけませんか?」
「な、何言ってんだよ、ダメだ、」
「少しだけ…少しだけでいいんです、先生…少しだけ」
 ジェノスは聞いたこともないような甘い声を出すと、首を傾げて上目遣いで窺ってくる。 子犬のような目で見上げてくるジェノスの顔に、思わずぐっ、と唸ってしまう。一瞬、目を逸らして、考えるような素振りをしてしまった、…それがまずかった。
「ひっ!ん!く、うっ、ま、待て、ジェノス!」
 無言を肯定と取ったのか、ジェノスがいきなり乳首にむしゃぶりついてきたのである。驚愕しかない。引きはがそうにも、腰に手を回されて、引き寄せられてしまうと、背が反る姿勢になって、最早足先で立っているようなものになっていた。抵抗らしい抵抗も出来ず、ジェノスの舌がきつくサイタマの乳首を吸って転がす。痺れる様な甘い疼きがサイタマをじわじわと襲い、立っている足が震えてきてしまう。
「はっ…あっ」
 サイタマは25にして童貞だった。そして普段のトレーニングで発散されているのと、十分な睡眠と食事がとれているので、そういった欲がほぼ湧いてこないサイタマにとって未知の感覚だった。最早恐怖である。
 くちゅくちゅと卑猥な音を立てて吸い付いてきながら、しっかりと腰を抱いていたジェノスの手がゆるゆると下にずれていやらしくサイタマの尻を撫でる。
 優しくもみしだかれて、さすがにまずいだろうと冷や汗さえも溢れてくる。
「や、やめろ!そ、そんな変な触り方!ちょっと!やめっ…うあ!」
 抗議の声もジェノスがサイタマの前を握ったことで中断されてしまう、
「な、なんてところ触ってるんだよ!?やめろよ!!」
「…でも…少し硬くなっています」
 乳首から口を離しながらも、うっとりとした目でサイタマを見上げてくるものだから、視線が泳いでしまう。
「感じてるんですね…先生…先生、…ここも…赤く尖って・…すごく可愛いです」
 そうとろけるように言ってから、ジェノスの舌がサイタマの ツンと尖った乳首の先をこれ見よがしにちろりと舐める。熱っぽく見上げる蕩けそうな顔も甘ったるい声も、まるで知らない人間のようだった。
 あの生真面目で堅物な弟子はどこにいった!?これは誰だ?!
「ジェノス、もうおしまいだ!もうダメ!おしまい!」
 真っ赤になって叫ぶと下から「えっ」と声が上がる。
「え…終わりですか?…もう駄目ですか?…でも、まだ下を触ってないです・・」
「触っただろ?!もう離せ!」
「これは布越しです…俺は、先生の肌に直接触れたいんです」
「だ、ダメ、絶対ダメだ!さ、触ってどうするんだよ!」
「先生、少しでいいんです…ほんの少しだけ…先生」
 きゅうーんと鳴き声が聞こえてきそうなほど、目を潤ませて必死に懇願する弟子に、サイタマは絆されてしまう事になった。困った事に、サイタマは小動物に非常に弱いのだ。
「う…す、少しだけだぞ…あ、あと5分だけだ!」
 サイタマの言葉に嬉しそうにこくんとジェノスは頷くと、手慣れたようにサイタマのズボンのボタンを外してしまう。
「ちょ、おま、」
 いきなりそれかよ?と唐突すぎる展開にサイタマが制止しようとするが、あっさりとズボンを寛がせると下着の中に長い指を差し込まれてしまった。少しだけ硬くなったサイタマの性器を握るとジェノスは恍惚にも似た熱い息を吐いた。
「あ、ちょ、何、やって」
 サイタマは意味の分からない言葉を羅列することしか出来ない。
「大丈夫です、先生は俺に身を任せてください」
 ハアハアと荒い息をして興奮状態のジェノスが熱い舌でサイタマの耳を舐める。
「ひ、な、舐めるな、よ、」
くすぐったくて首を竦めると、ジェノスが愉快そうに鼻で笑う。
「唇で触れるだけです」
そう囁いて、首筋や肩を濡れた唇で何度も触れてくる。ちゅっちゅっと耳の側で音がするたびサイタマは羞恥で震えてしまう。
 頬や耳にもキスをしながら、ジェノスはゆっくり撫でるようにサイタマの性器を掴んだ手を動かして反応を窺った。
 焦らす様な動きに、局部への刺激に慣れていないサイタマのそこは、既に粘り気のある体液を先端から零れさせていた。
「う、ん…んっ、う、動かす、な!」
「はぁ、はぁ・・・気持ちいいですか?先生…先生のここ、すごく、可愛いです…可愛い…。1人でしたりはしないんですか?」
 その問に思わずぶんぶんと首を振ってしまう。
「しねーよ」
 さすがに学生の頃はしたが、トレーニングを始めてから、そちらで発散されてしまうので殆どしなくなってしまった。
「俺はします…いつも…先生のこと考えて…くっ…舐めたい…先生のこれ…舐めたいです…ああ、くそっ」
 ジェノスは何度も苦し気に舌打ちをしている。
「だ、ダメだ!絶対ダメ、あ、っ…ちょ、変な風に動かすな……あっ、!」
 ジェノスはたまらないと言った風にサイタマの首筋に顔を埋め、激しく鼻を擦り合わせながら、握る手の動きを激していった。
「う、あ、っく、ん!」
 強い快感にサイタマは全身震えていた。縋るようにジェノスの腕の辺りのシャツをぎゅっと掴むと、恐怖から目を瞑る。サイタマの普段凛々しく見える顔が悩まし気に歪められていて、いやらしさに拍車をかけているように見える。サイタマの荒い息と火照った頬にたまらずジェノスは耳の中に舌を差し入れて、かき混ぜていた。にちゅにちゅと耳と下半身から繰り出される卑猥な音が、サイタマの体にぞくぞくと更なる快感が襲った。
「だ…だめ…もう、もう、止め、!んっんっ!やっ…手、とめて…も、無理っ…ふっ」
「イッて…先生、可愛い、可愛い・・先生のイくとこ見せてください」
 ジェノスはサイタマの頬やこめかみに無数のキスを降らしながら、とどめとばかりに雁の部分を何度も親指で刺激していった。
「うあっ!あっ…んああっ――――っ…っ!!」
 喉を鳴らしてサイタマは思い切りジェノスの手の中に濃厚な白い体液を飛沫させた。肩で息をするサイタマの頬にはいつのまにか出ていた生理的な涙が伝い、太ももが余韻でぷるぷると震えている。
 ジェノスはそんなサイタマの無防備な姿があまりに愛おしくて、力強く抱きしめて涙に濡れた頬に口づけする。
 涙を舐め取りたい衝動に駆られるも、律儀にサイタマとの約束を守って唇で触れるだけで我慢する。
 普段ストイックなイメージのサイタマの痴態に、ジェノスの性器も硬くなっていて、少し擦りつけただけでも達してしまいそうに勃起していた。
 何よりも愛しの先生が自分の腕の中にいることに、例えようもないほどの幸福を感じて感極まって泣いてしまいそうだった。
「先生、先生…先生の出したの、舐めていいですか?」
「…ダメ」
「駄目ですか?」
「…ダメだ、そんなの…」
 恥ずかしくて顔が上げられないサイタマが可愛くて愛おしくて益々ジェノスは興奮してしまう。
「はぁはぁ、先生…可愛い」
「可愛いわけねえだろ!」
 思わず叫んでしまった。しかしジェノスは意にも介さない。
「先生、先生…キスしていいですか?」
「ダメだ」
「駄目ですか?本当に駄目?」
「ダメだって」
「少しだけ・・触れるだけ…舐めないから…」
 そう懇願するように言われて、ぎゅうと心臓が鷲掴みにされたみたいに痛くなる。またほだされてしまいそうだった。
「少しだけ、少しだけ…先生…唇で唇に触れるだけ…先生」
 そう言って、震える赤い唇にジェノスの息がかかる。あと数センチでサイタマの唇と、ゆっくりと近づいてくるジェノスの唇が合わさる…寸前、ぎゅるるるるると、場違いな程の音が盛大に鳴り響いたのだった。

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