毎度おなじみ生徒×高校教師のパラレルです。
脅しから始まる関係から何だかなんだありつつハッピーエンドになるお話。
相変わらずの溺愛攻めと、流され受けです。
サンプルは全年齢向けですが、本編はがっつりR18です。
ピンクローター使用、青姦描写が出てきます。

3P〜9Pのサンプルになります。


 確か暦の上ではそろそろ冬が訪れようとしていたはずだ。

「…っ」

 しかし熱い。とにかく熱くてたまらなかった。

 季節は11月。冬と呼ぶにはまだ気が早いかもしれないが、気温は低く十分肌寒く感じ始める時期である。ましてや今は夜も遅い時間。寒いと感じておかしくないはずなのだが、何故だが、俺の額にはじっとりと汗が滲んでいた。歩くことに集中しているせいかもしれない。しかも腹筋や下腹部に間違っても力を入れてしまえば、膝がくじけてしまいかねない。かといって力を抜きすぎると、立っていることも出来ない…なんて微妙なバランスを保ちながら歩いているので、普段の100倍神経を使っている気がする。ああもう何なんだよ。この状況。いっそ泣き喚きたいくらい辛い。

「ふぁ」

 ぐいっと手を引かれ、思わず声が出てしまうと、前を歩く男が愉快そうに鼻で笑った。

「エッチな声ですね」

「っるさい、…!誰のせいで、こんな……っ、くっ」

「あんまり大きな声出すと、誰かに見られてしまうかもしれませんよ…?別に俺は構いませんが」

 悪戯な顔で振り返ってきて、にたりと笑われる。

「っ」

 こいつ性格悪すぎるだろう。誰が孤高の王子様だよ、誰が大人しくてクールだよ!あああ、もう!こいつがド変態で、しかもドS野郎であると世間に言いまくってやりたい。知っているのが俺だけというのが腹立たしくて仕方ないぜ!

 俺の手を握り、浮かれたように前を歩く、こやつの名前はジェノス。男2人で手を繋いでいるこの状態を誰かに見られたら完全にやばい気がするが、幸いというべきか、時間的にも遅かったので周りには人気がなく、まあ例えいたとしてもこう暗くちゃ手を繋いでいるとは分からないだろう…と必死で思い込もうとしていた。

 冷たい夜風が火照った頬を撫でる。俺たちの足音や息、鼓動、俺の体の内側から聞こえる器械音。すべてが現実のものとして考えられない。俺たち二人を残して世界が変わってしまったように、不自然なほど車も通らず、すれ違う人もいない。偶然なのか、必然なのか。運命めいたことを考えたが、夜中の2時も回れば、当然か。それじゃあなぜ俺たちはこんな寒い時期にこんな時間、出歩いているかというと。

「ひっ」

 考え事をしていることがばれたのか、突然手をぐいっと前に引っ張られた。瞬間、悲鳴が出てしまい、ジェノスは愉快そうに鼻で笑った。

「このドS野郎!」

 ついに言ってやったが、ジェノスは笑うのみ。何を言ってもこのふざけた男にはまったく効果がないのだ。完全に舐められている。そんなの知ってはいたけれど、やはり悔しいものは悔しい、が、今は何を言っても抵抗らしい抵抗も出来ないので、大人しく手を引かれるしかないのである。振りほどきたくてもそれをすれば結局困るのは俺だ。この手がなければへなへな、としゃがみこんできっと二度と立ち上がれない。さっきから俺の歩幅は小さく、膝も力が入らずがくがくと震えている。傍目から見れば酔っ払いの千鳥足か、と誤解されそうな程、足取りがおぼつかない。倒れそうになるたびに、ジェノスが体を支えてきて、しゃがむことも歩みを止めることも許されなかった。

「腰、抜けちゃいそうですね。でももう少しがんばってくださいね」

 こいつには全部ばれているのだろう。俺の体に起こっている状況も心情も何もかも。全部分かってて、俺を引っ張りまわしているのだ。思うと腹が立って仕方がない。

 表面上は何もおかしいところがないように見えるが、俺が今まとっているコートの下では股間が大変なことになっていた。今の状態で職質されたら完全にアウトである。

 ああ、早く帰りたい。そんな俺の気持ちをあざ笑うかのように中に収まるローターがぶぶぶと音を立てた。




 



 何でこんなことになってしまったのかというと、これには深い深い事情がある。

 唐突だが、俺には人に言えない秘密があった。それは、『ゲイのAVを見るのが趣味』である事だった。しかしここで間違ってはいけないのが、俺はゲイではない、ということだ。普通に女性が好きだったし、これまで交際してきたのも、全部女性である。エロ本だって見るが、AVのみ、男同士じゃなきゃ興奮しなかったのだ。なぜなのかは分からないが。

 その性癖に気が付いたのは学生の頃だった。友人に貸してもらったどのAVを見ても、ただ嫌悪感しかなく、とにかくあの非現実的な、ありもしないシチュエーションと女の高い声に萎えてしまっていたのだ。だったら女の声が一切入らないゲイのAVだったらどうだろう。そう考えて、試しに手を出してみたのが男同士のものだった。どんなもんだろう、とからかい半分、好奇心半分で、見てみたところ……これが大はまりしてしまい、普通のAVに萎えっぱなしのチンコがギンギンに勃起しまくる、という何とも信じがたい状況になったのである。何度出してもゲイAVを見ると、また勃起しては、扱きまくって射精する、をひたすら繰り返した。はまった当初はお前は中学生男子か、ってくらいやっていたと思う。無駄に体力があるから、自慰で徹夜をしてしまっても、何とか翌日も過ごせてしまうから、更なる拍車が掛かり、趣味が日課に変わるくらいにはまってしまった。

 俺もいい年になり、女性との交際や結婚を考える時期に入ったが、こんな性癖だし、きっと一生独りで過ごすんだろうなぁ、なんてぼんやり考えていた頃、転機が訪れた。それは3か月前。新作ゲイAVをチェックしに、レンタルビデオ屋に行った時だった。

「あれ?先生?」

 新作コーナーを物色している俺に声を掛けてくるやつがいて、反射的に誰だ?と顔を向けた瞬間、一気にサアっと顔が青ざめていくのが分かった。そいつが、俺の受け持つクラスの生徒、ジェノスだったからだ。絶句して、言葉が出ない。ただ石のように固まるしかなかった。

 ジェノスも驚いたように俺を見ていたが、ふいに俺の手元へと視線が移る。そしてふっと笑った。

「先生、マニアックなもの好きなんですね」

 それがゲイのAVだったからか、それとも、トコロテン30連発、というタイトルを見てそう言ったかは分からない。いや、両方だったのかもしれないが。

 終わった──…。俺の人生が終わった…と、あの時は本気でそう思った。残業で疲れ切っていた俺は警戒することを忘れていた。普段なら知り合いに会わないよう辺りを見渡しながら変装だってするが、今日はいずれもしていない。だが、まさか夜の10時過ぎに生徒がいるとは思わないじゃないか。

 いつもは仮面をかぶっているのか、と思うくらい無表情を貫いているジェノスだったが、今は違う。にたり、とひどく、愉快そうである。ジェノスはくすくす笑いながら、俺の手の中にあるゲイのAVを奪った。

「へー」

 そう言いながらパッケージの表や裏をしげしげと楽しげに見ていく。アダルトコーナーに何で高校生がいるんだ!と通常ならとがめたい所だが、てんぱっている俺はただ冷や汗をだらだらと流しながら呆然とするしかない。

 みんなにバラされる。頭の中で『教師』という文字ががらがらと崩れ落ちていくのが分かった。完全に血の気が引いている俺は、青冷めたまま何も言えない。がたがた震えていると、パッケージを楽しげに見ていたジェノスがふいに顔を上げる。そのまま手を出した。

「貸してください」

 は?金か?金なのか?俺がパニックになりながら、しどろもどろになっていると、痺れを切らしたジェノスが突然俺の尻ポケットに手を突っ込んできたのである。あまりに唐突すぎてうわっと飛び跳ねながら声が出てしまう。後ずさりながらも何事かと慌ててみると、ジェノスはポケットから俺の財布を取ったようだ。ボロの見慣れた財布がジェノスの手元にあり、納得してしまう。ああ、やっぱり金だったのか!黙っている代わりにどれくらい要求されるのだろう…。最悪な展開しか思いつかず、だらだらと更に冷や汗が出てきた。

 恐る恐るジェノスを見上げながら、ゴクリと唾を飲み込む。俺の支払える金額だと良いのだが、と心臓をばくばくさせならも身構えていると、ふいにジェノスはにっこり笑った。訳も分からず呆然としていると、ジェノスは無言で手元のDVDと俺の財布を持ったまま立ち去ってしまう。

「は?」

 思わず呟いてしまった。足裏に根が生えたように固まっていたが、何とか筋肉を動かし慌てて後を追う。ふらふらとおぼつかない足取りでR18コーナーを抜けると、目の前にレジが見える。そこには、俺の財布から会員証を取り出し、店員に出しているジェノスの姿があった。

 ジェノスは外見がとても大人びているので、高校生には見えない。私服だったこともあり、店員さんも疑わなかったようだ。慣れたように会計を済ませると、ジェノスが手元に袋を持って帰ってきた。

「行きましょう」

 あまりの展開に、どこへ、とかなぜ、という言葉が出てこないほどにそのときの俺はてんぱっていた。







「お、おい…!どっ、どこに、行くんだよ??もしかして、学校とか……?教育委員会とか?お、おれ、そんな、そんなつもりじゃ…!」

 何がそんなつもりじゃ、だ。俺はそのつもりでゲイのAVコーナーにいたんじゃないか。何を今更、と思うが、ただただパニクり過ぎて、弁解の言葉しか出てこない。

 ジェノスに手首をつかまれたまま、店を出た後、ずんずんと迷いなくジェノスが歩くので、俺はそれに従うことしか出来ない。どうしよう、どうしよう、と頭の中はぐちゃぐちゃで、まったく思考が纏まらなかった。

「あ、あの、ジェノス、これには深いわけが…」 

 とにかく言い訳だけはしておこうと思った。確かに今手元にあるトコロテン30連発は学校のシチュエーションを使用しているらしく、教師や制服を着た生徒らしい男優がパッケージに写っているが、決して俺はそれ目的で高校教師になったわけでもないし、制服フェチでもない。生徒はおろか、周りの男性をそういう目で見たこともないのだ。ただ自慰のおかずに使っていただけで、実際男同士でセックスをしたことも、したいと考えたこともなかったのである。だからロリコンでもないしゲイでもない、とにかくこれだけは伝えたくて、あの、とか、その、としどろもどろに話し出そうとしたのだが、その前にジェノスがぴたりと足を止めるから、俺も反射的に足が止まる。何事かと身構えていると、俺の方に向き直ってきながら、ジェノスはニコリと笑った。訳が分からなくてただただ混乱するしかない。

「センセイって、男とセックスしたいんですか?」

「つ、」

 当然来るであろう質問だった。ゲイのAVを物色していたくらいだ。ゲイなのだろうと思うのが普通だ。しかし俺は違うのである!

「違う」

 必死に首を振った。その俺の反応にジェノスは怪訝に眉根をしかめる。

「え、違うんですか?だって」

「俺はゲイじゃない!」

 ジェノスの言葉をさえぎって必死に言い募る。しかしジェノスは不満げだ。

「でも借りようとしてましたよね」

「そうだけど、違うんだよ」

 わかんないだろうなー、こればっかりは。俺自身だって明確な理由が分からないくらいだ。何で普通のAVじゃ駄目でゲイのAVなら勃起するのか。俺だって分かんないのに人に説明できるはずがない。しかし、ジェノスは厳しい顔で尚も追及してくる。

「じゃあ男とセックスしたことあるんですか?」

「ない!」

 ぶんぶんと首を振ると、ジェノスは暫く納得できないような顔をして俺を見詰めていたが、ふいにふっと表情を緩めた。

「でも興味はあるってことですよね」

「え、」

「男に興味はない。でも男とのセックスには興味があるって事ですよね」

 何でそういう解釈になる。

「な、何言って」

 俺の呆然とした呟きに、ジェノスは愉快そうに片方の口端を上げた。ぞぞぞと嫌な予感が走る。

「偶然ですね。実は俺も男とのセックスに興味があったんです」

「は、」

「ちょうどいいじゃないですか。俺としてみませんか?」

「ハア?」

 思わず唸ってしまった。どういうこった。

「おま、何言ってんだよ?大人をからかうのもいい加減にしろよ」

 吐き捨てるように言って、掴まれた手首をぶんと振りほどく。そのままギって睨みつけると、ジェノスは少しだけ考えるような表情をした後、値踏みするように俺を下から上へと眺め、そして無表情のまま言う。

「何言ってるんですか?先生に拒否権なんてありませんよ」

「はぁ?」

 大声が出てしまう。どういう意味だ。いつのまにかぐっと眉根に皺が寄っていた。

 口にせずとも俺の言いた言葉が分かったらしい。ジェノスは無言でポケットの中に入っていたスマホを取り出し、何やら画面を操作すると、おもむろに掲げてくる。

「先程写真を撮りました」

 そう、何て事ないようにジェノスが言う。しかしそれは大層な事で、俺はこれ以上白くなりようがないってくらい顔が青ざめていくのが分かる。体中に氷水をぶっかけられたみたいだった。

「とてもよく写ってます」

 そこには、ゲイのAVを真剣な表情で漁る俺の姿が鮮明に写っていた。隠し撮りのレベルではないはっきり具合である。何で俺気付かなかったんだ。どんだけ夢中で探してたんだよ。だらだらと冷や汗を流しながらただ呆然とジェノスを見詰める事しか出来ない。

「っ、」

決定的だった。俺に拒むという選択肢が無くなった瞬間である。しかし、なぜジェノスの要求が俺とのセックスなのだろう。いっそこれをネタに金をくれ、だとかテスト内容を教えてくれ、だとか、ありふれた脅迫をされた方がまだマシである。

「拒否権、ないですよね?」

 じっと強い視線で見詰められながら念を押すように言われて俺は視線を彷徨わせるしかない。ぐっと唇を噛み締めた。

「先生のお家、ここから近いですよね」

 何で知ってる。そう突っ込みたいが、言い出せる雰囲気ではない。

「家に入れて下さい」

 その言葉と強い視線には有無も言わせぬ力があって、俺はただ呆然とジェノスを見詰めた後、分かった、と呟くほかなかった。

 そのまま俺は引き摺られるように自分の家へと連れて行かれ、トコロテン30連発を永遠見させられながら、年下の、しかも生徒に食われてしまったのだった。それから3か月経った今でも良いように弄ばれ続けている。




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