24歳ノンケリーマン×30歳ガチホモリーマンのパラレルです。
あいかわらず溺愛攻めの弟子と大人の余裕を出そうとするが、失敗してぐずぐずになる淫乱先生のお話です。

10P〜16Pのサンプルになります。R18になりますのでご注意ください。



「家、どこなんですか?」
「ぅ、ぇ?」
「家どこです?」
「え……家……?」
 俺の大馬鹿野郎。ジェノスがどっちが酒に強いか勝負しましょうとか言うから、年上の威厳として負けるわけにはいかないと変にプライドが出ちまったせいで、べっろべろに酔っぱらうはめになってしまった。
「タクシーで送りますよ」
「んー?どこだっけ?」
「ここから近いですか?」
 もうこの頃の俺は意識朦朧としていて、何も考えられない状態である。
「わかんない」
 ジェノスに肩を支えてもらって歩きながら、ふるふると首を振る。その拍子にジェノスの手がずれてしまい、今度は抱えるように強く引き寄せられた。
「では、俺の家で良いですか?」
「おっけー」
 何がおっけーだ。このままではダメだ、と頭の片隅、一ミリ程で思ったが、そんな思考もすぐに消し飛んでしまう。
「明日はお休みですよね?」
「うん」
「だったら泊まっていってください」
「うん」
 素直にこくんと頷いていた。
 そのままタクシー乗り場まで連れて行かれて、いつのまにか車内の揺れで夢見心地になっていて、気付けばジェノスの家の目の前に居た。
 抱えられながら未だ酩酊状態のままジェノスの部屋に入り、どさりとソファへと座らされる。ゆらゆらと焦点が定まらない。
「はい、お水です」
 コップに入ったお水を渡されて、言われるがままぐびぐびと飲んでいた。冷えた水が喉を通り、燃えるような熱さだった体が少しだけ冷える。気持ちが良い。ジェノスが真横に腰かけていたことにも気づかず、水を飲む事に夢中になっていた。
 全て飲み干すとジェノスが矢継ぎ早に質問をしてくる。俺は若干残っている理性で、本当の事を言うまいと、当たり障りのない答えを必死で考えた。仕事の話も、確信を避けて話す。ジェノスもサラリーマンだったようで、そこだけは話が合った。正直今までゲイのせいもあり、男友達、というものに恵まれた事がない。バレて避けられた事もあるし、意識してしまって俺から避けたこともある。だからこんなに、しかも初対面で色々と話し込んだのは初めてだったかもしれない。いつもなら、すぐに体の関係になっちまってたからな。まあ、最後まで行けた相手もめちゃくちゃ少ないが…。ってか、ジェノス、酒に強すぎだろう。俺がこんなにべろんべろんになってるのに、奴は顔色一つ変えていない。悔しい。けど、久しぶりに人の金で酒を呑んだからとても気分が良くて、心がふわふわしてしまう。
 酷く心地の良い時間だった。俺の1Kの狭いアパートじゃない。見渡す限り広々空間である。だから少し気が弛んでしまったのだろう。既に半分夢の中に旅立っていた俺はジェノスが執拗に質問してくる事を不審にも思わず、ただひたすらふわふわ夢見心地でいちまった。
「名前教えてくれませんか?」
「んー……だぁから、ダメだってぇ」
 うまく働かない思考のまま、ぶんぶん首を振る。すると体がぐわりと傾き、横に倒れそうになってしまったが、伸びてきた手で肩を掴まれ支えられる。その瞬間、感じた人の体温がすごく嬉しくて、いつのまにかじゃれつく様に腕を回していた。
「んー……」
「っ!じゃ、じゃあ俺はなんて呼べばいいんですか」
 頑なにふるふると首を振る。だんだん焦らす事が面白くなっていたのだ。
「意地悪しないで下さいよ!」
 ジェノスが焦れたように声を出す。俺はくすくす笑った。益々隣の体温に抱きついてしまった。そういう関係が久しくなかったので、人恋しかったのだろう。
「…」
「ははっ」
 何を浮かれているのか、顔まで擦りつけていた。
「…随分と暑そうですね。服、脱ぎますか?」
「ん……へ?」 
 その言葉にゆるりと瞼を開けると、ぐわんと目が回った。酒のせいではない。いつのまにか見慣れない天井が視界いっぱいに広がっている。そして、照明を遮るようにジェノスの顔が現れた。俺はソファの上で押し倒されていたのだ。
「え……あれ……?」
「脱がしてあげましょうか?」
「ふあ、」
 俺が返事をする前に素早くYシャツのボタンを外されてしまい、前を広げられてしまう。ジェノスの冷たい手が、酒のせいで火照った体に少しだけ触れると、びくんと戦慄いてしまう。
「っ、」
 その反応を見たジェノスが、恐る恐ると言った風に顔を近づけてきた。
「キス、していいですか?」
 何を言っているのか分からない。意識朦朧としていて、ただ呆然と見上げる事しか出来ない。
「します、ね」
 ジェノスの顔がそろそろと下りてくる。
「ちょ、まっ」
 拒むように顔を背けるが、それすら追いかけてきて、とうとう唇の端に、啄むような感触が落ちた。驚きに目を見開いていると、ジェノスが顔を上げる。真剣な表情だった。冗談ではないらしい。俺がただ絶句していると、再び唇に柔らかな感触が落とされる。緊張しているのか震えるジェノスの唇が俺のを優しく啄み、感触を確かめるようにはむっと噛まれる。その瞬間、とろんと体全体の力が抜けていってしまった。
「口、開けて下さい」
 ただ表面をなぞるだけだったキスが一旦離された時、ジェノスが囁いてくる。ダメだ、とか嫌だ、とか言うべきなのだろうが、久しぶりにされた優しく甘いキスと、低く囁かれたジェノスの声に、すっかり絆されてしまい、俺は無意識に口を小さく開いていた。するとそのまま俺の唇全体を覆うように、奴の唇が重なる。先ほどまでとはまるで違う深い口付けに、息が詰まりそうになった。
「ん、ぅ……」
 合わせた唇の間からわずかに漏れた自分の吐息が、やけに色気づいていて恥ずかしい。顔を背けようとするが、ジェノスは当然のように追いかけてくる。拒む言葉は、ぬるりとした生温いものが内側へと入り込んできた事で、どこかに消えて行く。入ってきた奴の長い舌が、俺の口内を蹂躙し始めた。
 歯の感触を一つ一つ確かめていくように、歯列を順番になぞられる。熱くて尖った舌の感触に、背筋がぞわりと粟立つのを感じた。
「ふ、っ」
 奴の舌はさらに内側へと進んでくる。奥の方で怯えながら引っ込んでいた俺の舌の表面を、まるで誘導するかのようにゆっくりと、丁寧に舐める。そして執拗に絡んできた。いつもするような行きずりのセックスではこんな風に長くキスをすることはない。だからいとも簡単にぐずぐずに脳内を溶かされちまった。
 優しく吸い寄せられたかと思えば、逆に強く吸い付けられたり、時には軽く歯を立てられたり。ゆっくりだったり急だったり、優しかったり激しかったり……そんな奴の口付けに、いつしか俺は完全に身を委ねていた。しかも俺はねだるように奴の首に無意識に手を回してしまう。奴がわずかに息を呑んだような気がしたが、すぐに更に興奮したように舌を口内に侵入させ、激しく絡めてきた。最早唾液の絡まる音と、俺達の吐息しか聞こえてこない。
 俺はノンケと何をやってるんだ、という思いが脳裏を過ぎるが、あまりに気持ち良くて止める事が出来ない。ただこのままずっと、こうやって唇を重ねて、舌を絡め合っていたい。頭がふわふわして、意識がとろけて、すごく気持ちが良い。
 だけど、もうそろそろ本格的にヤバい。これ以上続けていると、マジでスイッチ入っちまう。
「っ、」
 下半身が熱くなり始めたのが分かり、咄嗟に奴の額を手の平で押し上げた。同時に俺も顔を背けると、深くくっついていた唇がようやく離れる。ぐい押し上げた先を視線で追うと、濃厚なキスしていたせいで奴の唇との間に、キラリと唾液の糸が伝っていた。いつのまにか口内にも沢山の唾液が溜まっていて、ごくんと喉を鳴らして飲み込む。ジェノスは押しのけた俺の手に顔を顰めたまま、唾液で濡れる自身の唇をべろりと舐め取った。その妙に扇情的な行為に、俺の中で何とか抑えこもうとしていたものがむくむくと否応なく高まってしまう。恍惚としたジェノスの顔を見ていられず、顔を背けた。
「は、ぁっ」
 それでも逃げ出す事は出来ない。全身からすっかり力が抜け切ってしまったのだ。ぐったりとベッドに身体を預けたまま、ジェノスの動向を不安な顔で見上げる事しかできない。
「その顔……すっごく可愛いです」
 ハア、とジェノスが興奮したように息を吐き出す。ぐいっと腰を押し付けられると、そこは既に硬くなっていた。思わずそっと手で触れてしまうと、びくんと震える。
「っ、」
 ジェノスが息を呑んだ。その反応がちょっと可愛くて、胸がキュンとしてしまう。この辺りで俺の頭は完全にイカレちまったらしい。いつもの(とは言え、回数は少ないが)行きずりの相手とするみたいな感覚になってしまった。興奮しすぎて相手がノンケであると完全に脳から消し飛んでいた。
「口でしてやろうか…?」
 おずおずと聞くと、覆いかぶさるジェノスの瞳が、ギラリと光る。これは完全に期待している目だ。
「い、いいんですか?」
 興奮したようにジェノスの声が上擦った。
「いいよ、舐めたい」
 言いながら、膨らんだそこを服の上から擦り上げると更に硬くなった。ぐわりと何かがこみ上げてくる。興奮する。どんな形なのか見たい。どんな風に反り返るのか見てみたい。
 指で性器の形をなぞると、ジェノスは恍惚と息を吐き出した。もっと反応が見たくて悪戯に先端を親指で擦ると、腰がひくつき、ジェノスが若干慌てた。その表情に益々悪戯心が湧いてきてしまう。更に乱暴に擦ると、ジェノスが俺の手を握って止めさせる。見上げると、怒ったような、それでいて愉快そうな顔で笑っていた。
「じゃあ、舐めて下さい」
「…うん」
 敬語を使いながら高圧的に来られると興奮してしまう。俺ってマジどM…。そう実感しながらもソファから起き上がり、床に座り込んだ。ジェノスの足を広げ、そこに身を入れると、ジェノスが生唾を飲んだのが分かった。見上げると、顔を真っ赤にさせて俺を凝視していて、すげえ可愛く見える。つい笑っちまいながらも手慣れたように、スラックスのホックとチャックを外し、既に期待に膨らんだものを隠す下着のゴムに手を掛けた。
「もう濡れてる」
 言って見上げると、ジェノスが羞恥に染まった顔で俺を睨みつけてくる。もっともっとこのイケメンの顔を色々歪ませてもみたいが、俺の方がそろそろ限界だ。早く味わいたい。何せこんな風にちゃんと味わうのも久しぶりである。ジェノスを見上げながらぺろりと唇を舐め上げると、喉仏があからさまに動く。こいつも興奮してんだって思うと益々興奮した。
 待ちきれずに勢いのまま指で下着をぐいっと下にずらすと、硬くなった性器を取り出す。そのまま顔を近づけて行った。膨らんだ亀頭部分をまず含み、先端をちろりと舌で舐めてみる。ぴくとわずかに筋肉が跳ねたのがわかって、気分が良くなった。
「ん……っ」
 歯がぶつからないように、唇をすぼめてくびれの部分から上へ、吸い上げるように刺激した。
「ふっ…ぅ……ん、」
 ぴちゃ、とわざとらしい音を立てながら舌を這わせて。時折、じゅる、なんてエロイ漫画みたいな音まで立てて吸い上げて。銜えたまま上目遣いでジェノスを見上げると、目を血走らせながら俺を見詰めていた。見せ付けるように舌を動かす。
「っ、………っ」
 ジェノスが息を呑む。どくんと熱が籠り性器が更に膨らんだ。
 唾液と先走りでぐちゃぐちゃになった手で根本を上下に擦り、先端をすぼめた口で扱くと、ジェノスが耐えるような掠れ声を出した。
「っく……、う…」
 膨らみ具合からいって、そろそろだろう。
 口いっぱいに性器を頬張り、唾液で滑りを良くさせて顔を上下させる。同じ男だ。しかも物心ついた時からずっとゲイだったのだ。どうすれば相手が気持ち良くなるかは熟知している。
「っ、い、くっ」
 そう切羽詰まったように言いながら、ジェノスが無意識なのだろう、俺の頭を押え込んだから、すげえ興奮しちまって強く吸い上げて雁に歯を立てていた。
「あ、」
 ジェノスが小さく呟いた瞬間、口の中に勢いよく精液が吐き出されていく。溜まってたのか、元々量が多いのか、中々止まらずに、かといって頭を押さえられているから口を離す事も出来ずに、何度もこくんと喉を鳴らして、ようやく精液を飲みきった。最後に残りカスを舌で舐め取ると、それすらも気持ち良いのかぴくんと腰が動いたので、嬉しくなる。調子に乗ってぺろぺろ舐めてたら、後頭部を押さえていたジェノスの手がゆっくりと耳を撫でつけてくるので、顔を上げる。イッた後の、気だるげな恍惚とした顔で俺を見詰めていた。エロ過ぎだろう。
「その顔、ヤバいですよ…」
 その言葉そっくりそのままお前に返したい。
「そんなに俺の美味しかったですか?」
 店に居た時は、淡泊そうでいっそ冷淡とも思える無表情が今や、見る影もない。欲情しきった雄の顔だった。ぞくり、と何とも言いがたい感情が背筋を這い上がった。うわあもっと言葉責めされてぇ…。
「ごちそうさん」
「…いつもそうしてるんですか?」
「内緒」
「誰かに教え込まれたんですか?」
 その声が若干苛立っているようにも聞こえた。
「さぁ?」
 何に怒ったかは分からんが、本当に覚えていないのでそう答えて肩を竦めた。ちらりとジェノスを見上げると、ギラリとした目で俺を睨んでいた。




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