サンプルになります!R18

 

 俺は、恋をしている。
 自分とは違う他人の温もりがこんなにも心地の良いものだと俺は知らなかった。好きな人に触れる事が、触れられる事が、こんなにも嬉しく、安らぎを与えてくれるものだとこの歳になるまで知らなかった。母親の腕の中というものはこんな風なのだろうか―――もう忘れてしまった。遠く遠く、記憶の彼方だ。


 すぐ横で眠る先生の腰を抱き寄せながら、子供みたいにぎゅうと抱きつく。肩口に顔をうずめて深く息をすると、同じ石鹸の匂いがする。パジャマからは俺が買ってきた柔軟剤の甘い香りがした。先生の強靭な体を包むにふさわしい服に仕上げるため、少しだけ高級な柔軟剤を使っている。最初は慣れない匂いに先生は戸惑ったみたいだが、今はもう慣れてくださったようで洗濯するたび良い匂いだと言ってもらえる。俺もこの匂いが一番落ち着くものとなった。何より自分と同じ匂いというのがたまらないのだ。先生が元々持ち合わせている香りと、柔軟剤の香りが混ぜ合わさって、それはとても優しい香りに思えた。
「じぇの、す?」
「せんせい」
 俺がぎゅうぎゅうと強く抱きしめ過ぎたせいで起きてしまったのか、舌足らずに俺の名を呼んだ。目を開こうとするが、眠気と戦っているようで瞼がぴくぴくと半開きになっている。先生の匂いをもっと嗅ぎたくて鼻先と唇で軽く首筋をなぞると先生がうっとうしそうに首を振る。そんなハエを追っ払うみたいな仕草しないでください。俺を邪険にしないで。もっともっと俺をかまって下さい。
 少しだけ意地悪な気持ちになってきて、露わになっている可愛い耳にかぷりと噛み付いて、がじがじ柔く噛んでやる。先生はいやいやと子供みたいに首を振る。
「じぇのす、なにしてんだ、」
 ううんと唸りながら瞼をぎゅうってする先生がとても可愛らしくて顔が緩みっぱなしになってしまう。こんな締まりのない顔、先生以外には見せられないな。
「なんだ、?」
 尚も耳を噛み、頬や顎にもキスをしていると、先生が怪訝な半開きの目で俺を見下ろしてくる。
「いてえよ」
 眠気と戦いながらも怒ったような顔をしている姿がまた可愛い。愛情を伝えたくて耳の裏の窪みをぺろりと舐めた。
「なにしてんだよばか」
 呆れたような顔をしながらも、先生の手は俺の肩に触れてくる。そのまま撫でられると例えようも無い程の幸福感に包まれる。喜びで一杯になりながらも俺が目を細めて先生を見下ろしていると、先生は呆れた風に呟いた。
「こどもはちゃんとねろよ」
「俺は子供じゃありません」
「おれにとってはまだまだこどもだ」
「子供じゃありま、」
 せん、と言い返そうとした瞬間、俺の肩を掴んでいた先生にぐいと引き寄せられた。そのまま耳を齧られる。驚きの あまり固まってしまうと、俺がしたように頬や顎、首元にキスをして最後に鼻先を軽く歯で啄まれた。顔が離れると呆然とした俺にふにゃんと笑いかけ、唇にもキスをくれる。
 先生からキスをしてくれることなんてめったにない、というか殆どない。いつも俺からだ。先生がキスをしてくれたんだ、と実感していくと首の方からじわじわと熱くなっていくのが自分でも分かった。
「はやくねろよ」
 フリーズしている俺の頭を軽くぽんっと叩いて、先生はまた深い眠りに入ってしまう。
 ああ、なんてひどい恋人なんだ。ここまで俺を高ぶらせておきながら、そうやって簡単に突き放してしまうんだから。
「先生、好き、大好きです」
 起こしてしまいたくないのに、再び強く抱きとめてしまう。
 先生が俺を受け入れてくれた時、酷く照れながらも俺も好きだと応えてくれた瞬間。あの喜びは何にも代えられない。こんなにも愛せる人は先生以外にいない。こんな人、一度手に入れてしまったら、もう後戻りなんてできるはずもない。
 だが同性、という壁が俺達には立ちはだかっていて、俺は先生を愛しているからそんな問題どうでも良いのだが、それまで男同士で恋愛などしたことのないだろう先生にとってその壁がどれほど高く険しいものだったか。それでも俺を受け入れてくれた。最初は俺の強引なまでの押しに流されていたのかもしれないが、ゆっくりとゆっくりと俺達は着実に愛を深めていっている。まあ、どの行為も最初はとても戸惑われたが。
 初めてディ―プキスをする時だってそうだった。




〜ここからジェノスの回想が入ります。

そして結局いたす二人〜



「な、何笑ってんだよ」
「いえ、可愛いなぁって思って」
「可愛くねえー!」
「俺に舐められてるのを、顔を赤くしながらも見ている先生可愛いです」
 そう言えば、上半身を少しだけ上げてじっとジェノスの動きを見詰めてしまっていた。言われて初めて気づいた。
「先生に見詰められながらするプレイもいいですね」
 ニッコリ笑うから、足で顎を蹴り上げたくなった。しないけど。
「先生いつも恥ずかしそうに目瞑ってしまうから…。それも可愛くて良いですが見られながらっていうのもオツですね。今度お互いの自慰行為を見せ合うっていうの…」
「絶対やんねえかんな!」
「そうですか残念」
 そう言いながらもジェノスは嬉しそうだ。ってか寝起きでよくそんな口が回るよな!俺だって同じように寝起きだが、ジェノスに良いようにされまくりだ。まだ脳だってうまく働かない。
「先生のアナニーとか見てみたかったな」
 ジェノスが真顔で呟く。こいつもまだ寝ぼけているみたいだな…。俺が苦い顔をしているのに気づかず、ジェノスはへそから脇腹を舐めていく。そのまま下がって行って下の毛を口に含みながらも、チンコ周辺に舌を這わした。じゅるじゅるとまるで毛を味わうみたいに舌を使われて正直恥ずかしい。その横で立ち上がっているチンコは更に恥ずかしい。早く触れよバカ!
その思いが通じたのか、ジェノスはちゅ、ちゅ、と唇を這わしながら散々待たされていたチンコに辿り着くと、いきなり根本に吸い付いてくる。待ってましたとばかり先端から汁が零れて、思わず腰が揺れてしまう。先端だけを口に含まれてじゅるると吸われるとめちゃくちゃ気持ち良いが、すごくもどかしい。
「早くしろよ」
 羞恥と戦いながらも言うと、ジェノスは俺のから口を離し、ニッコリと微笑む。
「もっと、えろく強請ってくれませんか?」
「は?む、無理だって」
「俺のをここに、ジェノスの早く入れてって」
「お前絶対エロ漫画とか、AVの見過ぎだって!」
 俺の慌てようをジェノスはクスクス愉快そうに笑って見ている。そのまま下に視線を流し、うっとりと目を細めると、俺の尻の穴に指を這わす。ゆっくりと穴の周りを撫でた。
「早く中に出して〜でも構いませんが」
 若干声を高めにして言うものだから、気色が悪い。
「ばーか!」
「つれないですね」
「つれるか!」
 ふんと顔を背けると、ジェノスは鼻で笑った後、唐突に穴に指を突き入れてくる。感覚としてはとても苦しいのだが、見ると簡単にジェノスの指を飲み込んでしまっていて、驚きである。最初にした時は、入れただけでも酷い痛みを感じていたはずなんだがな。
「昨晩散々解したからまだ柔らかいですね」
 どんだけ俺らやってんだよと思うと、恥ずかしくなってくる。ジェノスに会う前はそれほどエッチに興味も無かったのにさ。ジェノスに出会って調教されてしまったようだ。
「先生のここって、本当に可愛いです……」
俺の尻の穴が可愛いわけがない!でもジェノスはそれがマジで可愛いもののようにじっくり恍惚と見詰めている。否応なしに顔が熱くなる。
これが初めてというわけではないので今更かもしれないが、恥ずかしさはいつまで経っても消えないのでしょうがないだろう。
「先生の中、俺の指をきゅうきゅう締め付けています」
「し、知らねえよ!」
 苦し紛れに叫ぶ。これ以上見ていられなくて、ぽすんと頭を枕に埋めさせた。
自分自身が一番分かってんだ。これ以上ないくらいにジェノスの指を感じてんだから。わざわざ口に出すなバカ!散々枕の中にジェノスの悪口を言っていると、穴に突っ込んでいる指の本数が増やされた事に気付く。
「っ、ん」
ぐっ、と曲げられた指がいきなり前立腺のあたりに触れてきて、ぴくんと体が反応する。もう何もかも的確過ぎる。まあ、それくらいジェノスとやってるってことなんだが。
目の前がちかちかと点滅していた。強すぎる快楽に声も出ず、ただ口をぱくぱくと動かす事しか出来ない。そこを強く押すともっと気持ちが良い事を俺は知っている。無意識にむずむずと腰が動いてしまう。とうとう三本の指が入れられて、ばらばらに動かされるとたまらなかった。断続的に背中が跳ねる。
「あ、っ、あっ、」
 前立腺ばかりを狙って触れられると、与えられた快感に意識が遠のきそうになる。このままでは入れられる前にイッちまう。
「も、」
「もう限界ですか?」
「そうだよ!早く入れろ!バカ!」
ジェノスの楽しそうな声がめちゃくちゃムカつく!思わず反発してしまいそうになるが、後々辛くなるのは俺なので、ここは素直になっとくのが一番だ。まあ、多少言葉が刺々しくなってしまうのは仕方のない事である。
ジェノスはクスクス笑いながら、俺の穴を貪っていた指を引き抜いた。
「もっと素直な先生も見てみたいですね」




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