春炬燵



「暖かくなると変なやつが増えるとは言うが…」

『……?』

「目の前にいるとはなァ」

『まさかウチのこと?』

「アァお前だ。お前以外に誰がいる」

『え、全然分からないんですけど。ウチのどこが変だって?』

「俺の部屋で俺の服を着て俺のアイスを食ってるやつのどこか変じゃねェんだよ」

『全然変じゃないでしょ。だってウチトシの彼女だし』

「勝手に部屋に入るなっつったろ」

『大丈夫だよもし知らない女がいたとしても何がなんでも追い出すから』

「八重以外の女を部屋に入れるわけねェだろ」

『トシは急にデレるから困るよ』

「……まぁいい。つーか俺の服を着ねェでもここにはお前の服たくさんあるだろ」

『トシのがいいのよ』

「はぁ…。あとそれ、俺のアイス」

『桜アイスね。でもこれウチの為に買っておいてくれたんでしょ?』

「ちが」

『だってトシがピンク色の桜アイスを買って美味しーって食べてるの想像つかないし、そうでしょ?』

「……」

『あーアイス食べたら寒くなっちゃった』

「自業自得だバカ」

『トシこっち来て暖めて』

「あ?炬燵入っとけ」

『いいから早く来てハグしなさいよ。トシも外から帰ったばかりで寒いでしょ?暖めてあげる』

「……っ」

『やだ素直。……あー極楽。トシって体温高いよね』

「そうかよ」

『ね、ちゅーする?』

「なっ」

『あはは!あーお腹空いたなぁ』

「…結局色気より食い気か」

『腹が減ってはなんとやら。エッチも体力勝負よ』

「…………」

『顔赤くしちゃってかーわいー』

「うるせェ!」

『はいはい。ね、どっか食べに行こうよ。食事デートしよう』

「世の中は花見で盛り上がってるのにか?」

『花なんか見てもお腹いっぱいにならないわ』

「まさに花より団子だな」

『それにピンク色はトシの頬っぺだけで十分よ』

「なっ」

『うふふ、桜みたい』





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