「…………」 「…あい、もしもし」 「俺」 「おれおれ詐欺は拒否してるんで、じゃ」 「切ったらてめぇの涎垂らした寝顔SNSにあげる」 「沖田くぅん。フォロワー多いんだからそういうのやめようね。つかなに?0時過ぎてんじゃーん」 「寝てた?」 「当たり前でしょ、乙女はシンデレラタイム中はしっかり寝ておかないと」 「寝てるのにシンデレラになれねぇとは可哀想なやつでィ」 「なに、そんなこと言うために電話してきたの?ほんと眠いし切るよ?明日も学校だし」 「待ちなせェ。窓開けてみろ」 「やだ眠い」 「いいから」 「っはぁ〜。もぉな…に?…………え、いやなんでそこにいんの?」 「誕生日おめでとう」 「ありがと……え?」 「今日八重誕生日だろ」 「そうだけど、え?それ言うために家まで来たの?」 「誰にも祝ってもらえねぇんじゃ可哀想だと思いやして」 「一言余計。つか、まじか。0時ピッタリに電話とか乙女かよ」 「お前よか乙女かもな〜」 「ムカつく。てかちょっと待ってて、今そっち行く」 「いや来なくていい。電話も切るな」 「え、なんで」 「電話から聞こえてくる声は本人の声じゃねェ。機械の中に登録されている声の中から限りなく本人に近い声を選んで伝えられてるだけなんでさァ」 「へぇ。雑学雑学。で?」 「今お前に誕生日おめでとうと言ったのは俺であって俺じゃねェ」 「いや沖田くんだよ」 「明日、つか今日学校で会ったら俺の本当の声で祝ってやる」 「ありがとうございます」 「そん時ついでに告白もしてやらァ。耳の穴かっぽじって待っとけ」 「ん、ん?んん?」 「じゃあな」 「おい待て沖田くん!帰るなって!ちょ、ま、ええ!?」 付き合ってない けど すき合ってる Top |