小説 | ナノ







8年の眠りから目覚めてからのザンザスは、スクアーロの扱いに困っていた。


暗殺集団であるヴァリアーには女性隊員が少ない。
まるで工業高校のようだ。


その中でも一番美しい女は、副官であり恋人のスクアーロ。
黙っていれば知的な美しさが目を引くのだが見た目と中身のギャップが激しく性格はとても暑苦しい。
見た目は好みに成長していたが、彼女は自分の知らない時間を生きて仕事をこなしていた。
知らない、ということの恐怖が沸いてくる。
記憶の中のスクアーロと重なる部分は多いのだが、本当に目の前のスクアーロは自分の知っているスクアーロなのか。


訳も分からず苛立つ。


思春期真っ只中の16歳と14歳の仲睦まじい少年少女はある日いきなりの別れがあり、次に出会った時には少女は大人の女性になっていました。と言ってしまえばなんだか軽い。
しかし現実は少年は少年のままで眠り続け、少女は目覚めるのを8年も待っていたという重たい話。
年下の彼女は、自分よりも歳をとってしまってその上ヴァリアーの実質ボスであり、ただの御曹司として暮らしていた記憶しかない自分。なんだか見下されている気分だった。




彼女を虐げ、見下し、乱暴に抱くが少しも気分は晴れない。
決まっていつも最後に彼女は微笑む。



「ごめんなぁ」と。



その微笑が、罪悪感を募らせる。




(カス、悪いのは俺だ)



左頬が温かい気がして、ザンザスは目を開けた。

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