12 「…てめぇは、似合ってねぇ」 ザンザスがソファから背を離し両肘を膝にのせた前屈みのままスクアーロに近付いた。 「うぉ゛?」 スクアーロはすでにテーブルに両手をつき、右膝が乗りかかった状態で、その長い髪が垂れ余ってテーブルの上に黒い曲線を描いている。 「黒髪が似あわねぇな。」 レンズ越しの赤い目が真っ直ぐに青みがかった銀の目を見つめ、垂れ遊ぶ髪を一房その手に梳くい上げた。 「…んなこと、知ってるぞぉ」 スクアーロは、髪の毛をいじる指にそっと口付ける。指先がピクリと動く。 「明日には色落としとけ」 「…んぅっ……」 ザンザスはスクアーロの顎に手をかけると、舌で薄い唇を押し割り深く口付けた。 「ふ…ぁっ………」 ××××××××××× スクアーロは水気を含んだキラキラと光る銀の長い髪をタオルに包み、シャワーを浴びて濡れた髪からポタポタと雫を落とすザンザスの頭上にタオルを落として両手で丁寧に揉み乾かした。プラチナシルバーのフレームの眼鏡がテーブルの上に置かれているのが目に入る。 「…眼鏡必要なくらい視力落ちてたんだなぁ?」 「…」 「違うのかぁ?」 「日常に不便はなかった」 「ん?…じゃあなんで急に眼鏡作ったんだぁ?」 「どっかの鮫の顔がはっきり見えねぇからだ、ドカス。」 「っ…」 スクアーロのピタリと手が止まった。 [mokuji] [しおりを挟む] TOP |