小説 | ナノ







「…コルニオーラ?」


薄い笑みを浮かべた彼女は、そのしなやかな手をスクアーロの頬に這わした。
その視線はザンザスに向けたままに。


「いつまでも自分のモノだと安心してたら、痛い目みるぞ?」

「何がだ」


「お前、自覚ないのか」


ツゥッとスクアーロの首筋をコルニオーラの華奢な指がなぞり、再び頬を撫でると唇を寄せた。


ただ傍観するザンザスは、じんわりと自身の掌が熱くなるのを感じた。

(クソっ…何をこんなことで…)



「んんっ…コルニオーラ、…だめだって」


「…だめだと言う割に反応してんぞ」




ゆっくりと優雅な動作で頬から滑り落ちた手は、優しくスクアーロの先端をなであげる。


「っ…」


次第に服の上からでもハッキリとわかる程に膨らんでいくソコをコルニオーラが撫でる度にスクアーロは吐息を粗くした。


ザンザスは目の前で女の自分が自分の恋人を愛撫するのを傍観するなんて、と半ば気持ちが悪くなっていた。
クラクラと目眩がする。まるで現実感のない、幻術にでも晒されて酔ったような浮遊感と心地悪さに、苛立つ。




「   」


「…えっ?…な…に」


スクアーロの耳元で囁いたコルニオーラの声はスクアーロが聞き返す程に微かで、ザンザスのところまでは聞こえなかった。


「……だ」

「…ぅ゛ぉ……わかったから、手…」




再びスクアーロの耳元に 囁いたコルニオーラの手首を押さえて引き離したスクアーロが、耳の先を赤く染めて俯いた。



(何をコソコソ…)



先程から自制してはいるものの、やはり短気なザンザスにはどうにも腹が立って仕方がない。気晴らしにもなりはしないが、黒い女に弄ばれっ放しの銀色を睨みつけてみたら、彼が振り向いた。


心なしか揺れる薄灰色の瞳がじっとザンザスを見つめる。


「…ザンザス……」








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