1 「で?今度は何だって?」 薄く華奢なティーカップから煌びやかな装飾のスプーンを引き揚げながらルッスーリアがそう聞いた。 「だっ…だからよぉ〜…その、…痛くてっ…逃げ出しちまったって。」 「ナニが。」 「だからっ、ザンザスの…アレが…っ」 真っ赤になりながら絞り出したような声でスクアーロが呟いた。膝の上に握り揃えた拳まで真っ赤に染まっている。 「…ふぅ。ばっかね〜アンタ。なんで逃げんのよ?そんくらい我慢なさいよ。一刺しプスリっとやっちゃえば痛いのなんて一瞬でしょ」 「おまっ…下品だなぁ!!」 カチャリとカップを皿に置いてルッスーリアはため息をついた。 「もっと痛い思いなんて他にもあるでしょ?それは良くてなんでこれは駄目なのよ?」 「んなもん、痛みの種類が違げえだろ?!そんなとこ怪我したことも他人に触られたこともねーんだよっっ」 バンっとテーブルを叩いて身を乗り出したスクアーロのツンツンと跳ねた短い後ろ毛が揺れた。 「はいはい。てゆーかさぁ?ボスの男心を何だと思ってんのよ?そう何度も逃げられたら傷付くわよっ」 「オマエに男心がわかんのかぁ?」 ポカーンと大人しくなったスクアーロはそのまま元の椅子に腰を下ろした。 「んまっ失礼ね!オカマ心は両属性よっ」 「なんだそれ…」 「兎に角、謝って……いや、そうよ!謝るよりも良い方法があるわ」 「う゛ぉ?」 「スクちゃんからお誘いすんのよ!」 ルッスの右手の小指がピピーンと立ち上がった。 「なにをだぁ?」 「んもぅっ、鈍い子っ!セックス…つまりエッチのお誘いよぉん!」 「はぁっ!?無理無理無理っ!俺からとか…」 スクアーロが真っ赤になった顔をブンブンと左右に振り乱す。 「だめよっ。普通に謝ってもボスの傷付いた男心は簡単には癒えないわっ。ここはスクちゃんから求めて仲直りするしかないわっ」 「………………ほんとに……?」 [mokuji] [しおりを挟む] TOP |