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‖彼と彼の行方


補足DH








同盟ファミリーのボスを集めた緊急の会議だと言うから何事かと思えば毒にも薬にもならないような内容で、ディーノはすぐ隣に座る幼なじみの機嫌が既にMAXまで悪くなっている事を察知して極力彼を刺激しないよう、そして彼の副官に預けてきた可愛い恋人の為に会議が一刻も早く終わるように尽力した。



「俺だってこんな事に時間取られるのヤダし、お前がちょっとくらいは協力してくれればあんなの早く終わるのにさー!」


会議をスムーズに終わらせてそそくさと離脱したディーノの後ろを、ザンザスがついて来ているのを確認して愚痴を漏らした。ディーノだって、せっかく日本から恋人が来ているのだから、彼をほったらかしになんてしたくないし一秒でも長く触れ合っていたいのだ。


「いつでも独占できるんだからズルい」


「るせえ」


前を歩くディーノは、背中にチクチクと無言のプレッシャーを受けて肩をすくめた。


態度には出さないが、通常よりも早い足取りで部屋の前までやって来たディーノは、扉を開けるのを一瞬躊躇う。もし開けた先にすでに恋人が帰ってしまって居ない、なんてことが起きていたら―――

(いや、きっと待っててくれてる!)

頭を大きく降って、扉を勢いよく開けた。







雲雀の前に腰を下ろしたディーノがすっかり冷めてしまったそのカッフェを、不思議そうに見つめていた。


「何?」


「砂糖、スクアーロに言えば良かったのに」


その言葉に雲雀が目を見開いてディーノを見た。


「砂糖いれて温め直すな。」


「なんで?」


「お前砂糖入ってないと飲まないだろ?」


ディーノがカップを持って立ち上がるのを、雲雀が目で追った。


(そんなこと、言ったことないのに)



しばらくして再び雲雀の前に置かれた湯気をたてるカップからは、微かに甘い香りが漂っていた。



「アナタはそうやってずっと僕のことを見てるの?」


ニコニコと頬杖をついてこちらを伺うディーノに、雲雀が視線を合わせてカップを手に取った。


「うん。今日は一緒にいられなくて寂しかったからね」


「変なヒト!」



そう言ってカッフェを一気に飲み干した雲雀の頬が、仄かに赤く染まっていた。







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