log | ナノ

‖Buona mattina



朝の話







スクアーロには日課がある。意外にも規則正しい生活をしていて、どんなに夜遅くなっても朝は8時には起きる。
そして起きたらまず、新聞を読むのだ。実はこの新聞の為に規則正しい生活を余儀なくなれていると言っても過言ではなく、このヴァリアーの館に配達される2部ずつの各種新聞の1部はボス専用であり、残るもう1部が奪い合いなのだ。

いち暗殺者として、裏社会の組織として、情報は常に最新を要求される。この朝8時というのはいつも丁度いい新聞の空き時間になっていて、ゆっくりと読めるので都合がいい。
わざわざ待たずとも、スクアーロが求めれば譲って貰えるのだが、わざわざ他人の邪魔をしてまで先に読みたいわけでもないので、こうなったのだが結局定時に新聞が戻るようになった。

(なんだかなぁ?)


新聞を読み終えて、朝が遅い館内の窓を開けて回る。普通は下位隊員の仕事だが、長年やってきたスクアーロにはこれがすでに日課になっている。しかし下位隊員の手前、この1フロアの窓を開けるまでがスクアーロの役目になっている。

(うーん…不満はないんだけど)


やることがなくなってしまい、ブラブラと厨房へと向かった。厨房では、朝食の支度がなされていた。それぞれ違う朝のメニューが実は一番大変なのだ。毎朝焼きたてパン、それもクロワッサンがいいというベルの為にパン職人顔負けに幾重も層を綺麗に作る使用人や、朝とは思えないほどの量の肉を下ごしらえするシェフを尻目にスクアーロはコーヒーカップを棚から取り出す。
慣れない使用人などは突然厨房に現れた幹部に緊張してしまうものだが、今いる者達はベテランばかりで特に気にした様子もない。

小さなマッキネッタのボイラーに水を入れ、ストレーナーにコーヒーを山のように盛り上げるとポットのフタをギュッとしめて火にかける。
丁度わき上がる音が小さくなって来た頃に、呼び出し音が2回鳴った。


「おっ、今日も丁度だなぁ」


マッキネッタからカップにカッフェを注いで、それを2つ持つと、厨房を後にした。
そして、カッフェの良い香りを漂わせながら館で一番重厚な扉の前に立つ。


ガチャ



ノックをせずとも向こうから扉が開いて、ローブを羽織った眠そうな顔のザンザスがくあっとあくびをした。



「おはよう、ザンザス」


「ああ、…おはよう」





そうして今日も一日が始まるのだった。


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -