特訓開始








僕の大事な片割れが泣いたところを久し振りに見た
最後に見たのは雷門を卒業した時
それ以降は全くと言って良いほど見ていない、昔はあんなに泣き虫だった由紀が泣かなくなったことに気が付いて若干寂しいなと感じたのは昔の方の記憶にある
そんな由紀が今日泣いた
あいつ顔に出ないから全然分かんなくて
でも結構精神的に限界だったみたいだ
今は泣き疲れたのか吹雪に抱きついて膝の上に座り寝息を立てている









『ねぇ、円堂 僕ちゃんとお姉さんやれてるかな』

「お前はちゃんと姉ちゃんやれてるよ、さっきのはちょっと気が付くのが遅れただけで全然お前のせいなんかじゃない、だからお前も今は寝とけ、な?」











ぽんぽんと撫でられるままに、眠気に逆らわず目を閉じればいつの間にか寝てしまっていたようで、気が付いたら由紀が朝食の準備をしていた











『‥由紀?』

『あ、おはよう由良 起こしちゃったんだねごめんなさい、よかったら朝食の支度手伝ってもらえる?』

『うん!!もちろん!!』









いつも通りな由良の姿
なら僕もいつも通りにするしかない、だって話したくないことを無理矢理聞いても由良が困っちゃうもんね







『ごめんね由良』






ぽつりと小さく呟かれた言葉でも僕の耳にはちゃんと届いていて、そのまま耳を傾ける





『私、無理してた大人気なさすぎた、それに凄く不安だった 天馬くんたちの安否とか仕方がないって解っててもしろくんと中々お話出来なくてイライラしたの、そしたらだんだんマイナス思考になってきて、しろくん私のこと嫌いなのかなって』

『嫌いなら10年も一緒に居ないよ』

『ふふ、そうよね それしろくんにも昨日言われちゃった』






‥なんだと、あの白い生物と考えが一緒だなんてオーマイゴットだよ
でも心配する必要は無いと思う
あいつ、僕以上に過保護だし癪だけど凄く由紀を大切にしてるって解るから
それに気が付いてないだけなんだよね、由紀ってば
お前はちゃんと皆に愛されてるんだよって言ったら由紀は凄く照れ臭そうに笑ってた






『それは由良も同じだと思うわ』

『そうかなー』

『ええ、しろくんも口ではああ言ってるけど本当に感謝してるの、由良に』








もう敦也の事件から10年だもんね
そりゃあ僕も感謝してるよ、大事な片割れを本当に大切にしてくれてるみたいだしね
僕も素直になれてないけど、ちゃんと有り難うって思ってるもん







「‥由紀先生!?」

『あ、天馬くん 起きたのね、体調はどう?大丈夫?』

『どっか痛いとことかないー?』 

「由良先生も!!」







目が覚めたか!



(( 円堂監督!!! ))

( もう元気みたいだな )

( 子供は元気ねぇ )

( そうだねぇ )

( 吹雪、由紀それ完璧年寄り )




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