疲れてへとへとになってカウンターに顎を置いていると頭上からお疲れと言う声が聞こえた
反射的に上を見るとひんやりとした手のひらが額に置かれていた
グレイさんが笑顔を浮かべながら頭をくしゃりと撫でてくれた
椅子を引いて私の隣に座りオレンジジュースをくれる





『‥くれるんですか?』

「ナツのヤローの修行に大変みたいだからな、奢るよ まだクエストも行ってないんだろ?」





クエスト‥?ジュビアちゃんに誘われたあれかしら‥
でも私はまだ滅竜魔法使えて無いから申し訳無いけど断ったけど‥
でも早くクエスト行かなきゃお金も貰えないのね‥

とにかくお腹も空いていたし‥グレイさんの好意に甘えて置こう‥





『んむ‥おいしいですねぇ‥そう言えばグレイさんの魔法は綺麗だってルーシィちゃんから聞きました、どんな魔法なんですか?』

「綺麗?んな事言われたのか‥俺は氷の魔導士でな、造形魔法を使うんだ」





ほら、と両手のひらで作られた氷で出来たフェアリーテイルの紋章を手渡される
うわぁ‥うわぁきれい!
すてき‥格好善いなぁ‥!!

横をみるとなぜかグレイさんが片手で顔を覆い隠して耳まで真っ赤にしていた

え、なんで?




「楝、さっきの全部声に出てたわよ?」

『えっ!うそ!』

「嘘じゃないわよ、バッチリ聞こえてたわぁ?まぁそれに顔を赤くして照れてる男が居るけど?」





え‥そんな‥照れてるだなんて嘘
だって目を合わせてくれないもの絶対気持ち悪かったに決まってる
ああああどうしよう!!

一人でわたわたしているとまだ頬に赤みが残るグレイさんがぽんぽんと頭を撫でてくれた
グレイさんは私にとってお兄さんみたいな人かもしれない
兄が居ない私が言うの変だけどきっとお兄さんが居たならこんな感じなのかなって言うのは感じる





『あの‥グレイさん、有り難うございます ええと私早く滅竜魔法ちゃんと覚えて皆さんの様に強く、皆さんの役に立てるように今まで以上に修行頑張ります、だからまたいっぱいお話しても良いですか!』





私の言葉を聞いたグレイさんはぱちりと目を大きくさせて瞬きした後すぐに微笑みを浮かべて「おう」と言って、また優しく頭を撫でてくれた

ああ、安心する
早く強くなって、この人たちを守りたい
楽しくてあったかい皆と一緒にいたい

ここは私の家で、私は家族の一員だと、おじいちゃんは言ってくれた
だから私はその家族を精一杯守る





『グレイさん、私強くなってグレイさんも守ってみせます‥』



そう決意して呟けばこつんと額に軽い衝撃
それはグレイさんが握った右手の拳
どうやら軽くげんこつをされたらしい

怒られたのだろうか、よく意味が分からなくて額を抑えているとグレイさんは優しい微笑みのまま言った








俺が守る側だろ?


( うあ‥ああ‥‥っ、やです )

( なんでだよ!? )

( 大人しく守られる何て嫌です )

( この子言い出したら聞かないわよぉ? )







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