妖精の尻尾 | ナノ

 Please don't ignore it!

ロキの事が好きだと実感したあの日から早数日
私はロキの事を避けに避け捲っている
こんな事したってどうしようも無い事
解って居るし、ロキの寂しそうな顔を見る度
胸がきゅうと締め付けられて、
私も苦しくなってしまう
何時もの様に御話したいのに、
その「いつも」が分からない
私どうやってロキと接してたっけ...

「おーい、ディーナ?どうしたんだよ、ここにすっげェ皺寄ってるぞ」
「駄目だよナツぅ女の子にそんな事言っちゃ!」

最近ロキに合わない様にと転々と御話する人を変えている
今日はナツ様とハッピー様にお付き合い頂いている
んんん、心配かけちゃだめですね、しっかりしないと

「大丈夫です、ちょっと考え事してただけで...」

「そうか?ならいいけどよー、そう言えば昨日のロキはどんよりだったな」

「あい!この世の終わりって感じだったよね!」


え!?ロキ死んじゃうんですか!
そ...そう言う意味じゃないの解ってるのになんだかすごくそわそわしちゃう...


「ろ...ロキは大丈夫でしたか...?」

「んー、まあ色んな物にぶつかってたけど自分では大丈夫って思ってるらしいぞ?」


普段なにがあっても女の子の事を考えて行動しくれたりするロキがそうなってしまうのは全く想像がつかない
そう言えば昨日グレイ様がおっしゃってた
私と再会してから他の女の子に全く言い寄らなくなったって
むしろ今まで一緒にいた女の子達に色々説明して殴られてたって...
だ...大丈夫かしら...ロキの事だから女の子に手をあげたりしないから、自分の事を叩いて気が済むならとか思ってそうだし...


「最近お前ロキと一緒に居ないよな、嫌いになったのか?」


ナツ様からの言葉にどきりと胸を跳ねさせてしまう
嫌いになったとかそんなんじゃないのに...上手く言葉が出て来ない
ルーシィ様とは違った言葉の強さと、まっすぐした目に、この人は本当に心配してくださっているんだと強く感じる事が出来た
ルーシィ様がふざけていると言う事は決してない、ただ、凄く言葉も行動も心強いナツ様に知らず知らずのうちに涙が出た


「あー!!ナツがディーナ泣かせたー!!」

「だあああ!!!ハッピー静かにしてろ!俺か!?俺が泣かせたのか!?」


慌てて私に駆け寄り戸惑いながらも背中を擦ってくれる優しさに思わず笑みがこぼれる
ありがとうって、涙で濡れた顔、決してきれいな顔ではない筈なのにナツ様は優しく、いつもみたいに、太陽みたいにあったかく笑ってくれた。

とりあえず、ロキと話さないことには何も始まらない
ナツ様とハッピー様からそう助言をいただいた
確かに。と自分でも納得した
いつまでもロキから、自分の気持ちから逃げるわけには
いかないのだと。


ナツ様とハッピー様に帰ることを告げお別れする。
家に帰るまでにバルゴちゃんに会った。


「こんにちわ、ディーナちゃん」

『こんにちわ バルゴちゃん、ロキをどこかで見ませんでした?』

「あちらのカフェでアクエリアス様になにかご相談を
されているようでしたよ」

『カフェ…そうですか…』


早速出鼻をくじかれた様な気持ちに
なってしまいましたがそうはいきません
バルゴちゃんにお礼とさよならを告げ
カフェへ向かう

女の子好きのロキの事だから
美人なアクエリアスちゃんを
口説いているのでは無いだろうか…


いやいや…
アクエリアスちゃんには素敵な
彼氏さんが居るのだから…


悪い考えを振り払うように頭を何度か振る


カフェへ辿り着くと何故か勇気が
出て来なくて。
小窓から中の様子を伺う
完璧に不審者のそれなのだが今は
そんな事を気にしている程心に余裕は
無いのです…!


様子を伺うと顰めっ面なアクエリアスちゃんと
笑顔のロキ
いつもの、女性の方に話しかけている時の
顔で
私の心の中にはもやもやした感情

この前もこんな感情があったような
そしてそれをルーシィ様に教えていただいた気がする。



『…嫉妬…』



思い出しだ言葉が反射的に口に出た。
ハッとして慌てて口を手で覆い隠す
幸いにも誰にも聞かれていないようだ


アクエリアスちゃんも大好きなのに、自分の胸の中には
醜い感情。
急に自覚して、勝手に嫉妬して、醜い感情を持つ私。


そう考えたら自分への嫌悪感があふれてきた。

これ以上、二人を見ていたくなくて足早に家へ。




どうしたらいいんですか



( 心臓が苦しい )

( 嫉妬って、こんなに苦しいんですね )



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