海賊 | ナノ


▼ 7

飯屋で助けた、と言うか
事実を言っただけだけど。
盲目のオッサンは名乗らない方が
お互い身のためだと言った。

んん、良くわかんねェ。
頭を傾げながらも傍に寄ってきた
エアルの頭を撫でる。
撫でると 嬉しそうにふわふわと
柔らかい笑顔を浮かべるもんだから
こっちも嬉しくなる。
俺がエアルで癒されていると
店のあちこちであれが無くなった、
これが無くなった、と声が聞こえた。
ドレスローザには昔から
『妖精』が居ると店主のオモチャが
教えてくれた。
なんだそれ!おもしろそうだ!

どうやらゾロの刀も1本無くなったらしい。
ゾロは錦えもんと言い合いをしながらも
刀の運び出す時に鳴る振動の音を
聞き分け店から飛び出す。

ゾロは方向音痴だからサンジも追いかける。
刀を見付けたと思った錦えもんも
追いかけた。
妖精の仕業だと分かれば
楽しさでいっぱいになる。
んんー!わくわくするなァ!

エアルの手をしっかり握り
ゾロたちを追い掛けようとしたら
フランキーに止められる。


「おい離せよ!俺達も行こう!!」

「おれに名案が浮かんでんだよ!!」

『名案‥?』

「よくわかった。こう言う面子だと
おれがしっかりしなきゃいけねェんだな
万事 このアニキに任せとけ!!」



任せろ、と言ったフランキーは
さっきのオッサンが落としたチンピラの
仕切ってたやつを裏路地に連れ出す。

裏路地は特に物騒だからな。
しっかりエアルの手を握る。
エアルの手は小さくて柔らかい、
それでも俺に応えようと一生懸命
握り返してくれるから 安心する。


フランキーが脅しながらチンピラに
スマイル工場の事を聞こうとするけど
こいつは何も知らないみたいだ。

その代わり 今日はコロシアムがあること。
そこに行けばドフラミンゴファミリーの
上官たちに会える事を言った。


「今日は特大イベントでよ!
ファミリーの幹部たちが集まってるハズだ‥!
どう言うわけか若様が ものすげェ賞品を
用意しちまってよ! いやァあれは
ビビったぜ!!誰でも欲しい」


誰でも欲しいものすげェ賞品‥?
まさか‥!!



「ミンゴが言ってたおいしいお肉か!?」

「あいつはお前が欲しがる物としか
言ってねェよ」



フランキーのツッコミに口を尖らせる。
なんだよー おいしいお肉はみんな欲しいだろー。

くい、と俺の服が引っ張られる。
エアルだ。
エアルはどこか、気難しいような、
顔色が悪く俺を見た。


『ルフィ‥それ、もしかしたら‥ルフィの、
エースさんの能力の、悪魔の実だったり‥。』

「!嬢ちゃん勘が良いな!そうだ
あの白ひげ海賊団の『火拳のエース』の
能力 メラメラの実だ!」

「本物か!?それ」

「若様が下らねェウソなんかつくか!!」


「エースの‥メラメラの実!?」



エアルの勘は良く当たる。
それはすげェ小さい事だったり、
今みたいにでっけェことだったり。
まさか‥エースの実が、コロシアムの賞品に
なってるなんて思わなかった‥。
確かに『それ』は俺が誰にも
渡したくない実。
俺が欲しがる物と言ったミンゴの言葉にも
納得がいく。
心配そうに見てくるエアルの頭を
ひと撫でし 俺は決めた。

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