海賊 | ナノ


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エアルを連れて船に戻った。
父ちゃんをぶっ飛ばすと決めた日、
仲間には大体の事は話していた。

エアルと言う恋人が出来たこと。
そしてそのエアルを仲間にする為に
閉じ込められている元凶となっている
父親をぶっ飛ばす事。


はじめ、俺に恋人と言う事に
仲間はみんな驚いていた。


エアルが船に恐る恐る乗った時、
仲間は本当だったのかと口々に言う。



『る、ルフィ‥私、どうしたら‥。』


すっかり怯え切っているエアルは
俺の背中に隠れる。
背中の服をきゅっと握る仕草は
可愛すぎて溜まったもんじゃねェ。

絶対俺以外にはして欲しくねェもんだ。



「可愛い!この子本当にルフィの恋人!?」

1番に話し掛けたのはナミ。
同じ女だからか警戒心も割と薄く、
怯えながらも頷いた。


「私はナミ!この船の航海士よ!」

『えっと‥エアル、です。
よろしくお願い致します‥』

「きゃー!可愛い!ね!ロビン!」

「ふふ そうね、ルフィも隅に置けないわね」



ナミに続きロビン、チョッパー、ウソップ、
サンジ、ブルック、フランキー、ゾロが
名前と船での役割を言う。
初めて一気に何人もの人に会って疲れたのか
俺に寄り掛かる。

「どうした?大丈夫か!?」

『平気です‥ルフィの仲間は、みんな
素敵なんですね。』


何か、嬉しそうに笑うエアルと、
自分の自慢の仲間が褒められた事に
嬉しくなった。


「しし、自慢の仲間だからな!
今日からはエアルも仲間だぞ!
もちろんその前に俺のオンナなんだけどな!」

『!は、はい‥。』

赤いほっぺたを両手で隠す仕草を、
エアルはよくする。
癖みたいなもんなのか。
可愛いから良いけどな!

抱き着くと 恐る恐るながらも
俺の背中に腕を回してしっかりと
抱き締めてくれる。
そんなエアルに愛おしさが増し、
ほっぺたが緩む。


「‥恋人ってホントだったのね、お熱いわー。」

「ナミ!俺は嘘吐かねェぞ!」

「あーはいはい。」


ひらひらと手を振って軽くあしらうナミ。
そんなナミの言葉に尚更恥ずかしくなったのか
エアルは俺の服に顔を埋めた。


「ふふ ルフィにべったりね。」

「俺のだからな!」


耳まで真っ赤にするエアル。
俺はこの可愛い彼女を、絶対守るんだ。


紹介もそこそこにナミとロビンに
女部屋を初めとする
船の中の案内を頼んだ。

これから仲間になるんだからな、
出来ることなら早くエアルに
この環境に慣れて欲しい。と思ったから。

2人は快くOKした。
ついでにファッションショーも
するんだそうだ。





何時間か経った。
あったかいお日様の下、サニー号の
芝生の上で昼寝をしてた。

ふ、と落ちる影に目が覚める。
風に乗った匂いが鼻を擽った。
エアルだ。



「ん‥、エアル‥」

『あ‥ルフィ、起こしちゃいましたか?』


ファッションショーを終えたエアルは
白く綺麗な肌を隠すようにフードが
付いた薄桃色のマント。
リボンとフリルがふんだんに使われた
ミニスカート丈のワンピース。
膝上までのニーハイ。
白い布地のブーツ。

全部が全部、エアルの可愛さを
引き立てる物でしかなかった。
恥ずかしそうにしながらも笑うエアルは
本当に可愛くて 綺麗だ。



「あー‥眩しい‥。」

『えっ、い 急いで影作ります‥!』


手で俺の目の上を覆い影を作ってくれる。
そう言う事じゃねーんだけどなァ‥。


だけど、俺を思ってくれての行動に
自然と頬が緩んだ。
そんな俺を不思議そうに見詰めるエアル。

可愛いが過ぎたから
起き上がって唇をちょん、と合わせた。


『、‥っ、!』

「しし エアルが可愛いからだからな!」

『し、知りません そんなの‥!』


タイミングがいいのか悪いのか、
エアルはナミに呼ばれた。

照れていたエアルは逃げる様に、
返事をしてぱたぱたと去っていった。


あー、くそー。

「可愛いなァ‥。」

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