海賊 | ナノ


▼ 3

ルフィが 父をぶっ飛ばすと
宣言してから2日が経った。
2日間、母は私の傍から片時も
離れようとせず、今までの時間を
埋めるように色んな話をした。

話してくれて幸せだと、
産んでくれて幸せだと伝えると
母は涙を流して喜んでいた。


そんな母を見ると私も嬉しく、
自然と頬が緩む。


それでも 頭の中はルフィのことで
いっぱいだった。
母と居られるのは嬉しい。
でも、ルフィは今何をしているのか、
怪我をしていないかと考えるだけで
気が気じゃなかった。

夜中、皆が寝静まり、母も
私の隣に置いたベッドで寝ていた。
私は落ち着かず、窓の外を見ていた。


ーーーがしゃん!


『、ひっ、』


二日前と同じ様に 鉄格子が鳴る。
そしてまた 同じ様に、
愛しい人が顔を覗かせていた。


『っ、ルフィ‥!』

「おう!迎えに来たぞ!」

『良かった‥怪我は?』

「大丈夫だ!俺つえーから!」


にっ、と笑うルフィ。
確かにルフィは細い割に
しっかりと筋肉が付いていてとても逞しい。

はしたないかしら、と考えを
頭を振って飛ばす。


「エアル、会いたかった。」

『私も、お会いしたかったです。』

どちらかともなく抱き合う。
ルフィの体温にも 息遣いにも安心する。
ルフィがここに居る。
しっかりと、存在を確認出来る事が
嬉しかった。


「‥エアル 行くのね?」

『お母さん‥ うん‥行きたい。
ルフィと一緒に 色んな世界を見てきたい。』

「いってらっしゃい‥、私の可愛い娘‥。」


母と頬に口付けをし合い、見送られる。
ルフィは母に ちゃんと守るから。と
約束をしていた。

それから 父を倒したこと。
色々悪事を働いていた為、それを
街中に流し、失脚させたことを伝えていた。

母は、これからは街のみんなで守るから
安心して行ってきなさいと
言ってくれて、夜中にも関わらず
見送ってくれた。


悲しくて、寂しかったけど
ルフィは約束してくれた。
海賊王になったら、必ずここに
もう一度戻ってくること。
母に元気な姿を見せることを。

母もそれに、泣いて喜び、私も嬉しかった。

ルフィが私の故郷を大事に
思ってくれていることが嬉しかった。



母に持っていくように言われた、
母がずっと付けていたペンダントを貰う。
元々結婚する時に渡す物らしく、
ルフィくんと結婚するものね、と笑って
渡してくれた。



最後に母と、もう一度と強い抱擁を
交わし 私は生まれ育った島を出た。

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