海賊 | ナノ


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どうやら防具には重量制限があるらしく
ルフィは1回決めた防具を
満足そうにしていたが、
その制限に引っ掛かり
話し掛けてきてくれたキャベンディッシュさん
に色々と教えて貰った。

私は重いの苦手だから要らないかな。


キャベンディッシュさんは
ルフィに『逆恨み』をしているらしい。
その理由を熱く説明してくれていたけど
ルフィは聞いていないみたい‥。
キャベンディッシュさんと目が合って
ウィンクを送られる。
こう言う人初めてだからどう接して
良いか分らない‥。

目敏くルフィはそれを察知していて
くれた様で腕を引かれルフィに
背中から抱き締められる。
二人して大きな銅像の前に立つ。



『大きいですね‥。』

「な、何かこのおっさんの格好と
似てる感じになっちまった。」

『似合ってますよ?』

「エアルにそう言って貰えんなら
これで決まりだな!」


銅像を見ていると1人の女の人に
話しかけられる。
レベッカと言う剣闘士みたい。
この銅像はコロシアム史上最強の
剣闘士キュロスさんと言う人らしい。
実在したか空想なのか、誰も知らない
人の銅像で皆不思議なんだそう。

「私‥今日で最後にするんだ‥!
“メラメラ”の能力を手に入れて‥
討つんだ‥!ドフラミンゴを!!」

「え!!ミンゴを!?」

「あなたたちは‥ブロックは?」

「俺はC」

『私もです』


彼女は綺麗に微笑んで 良かった、と
呟いて去っていった。
良かった、と言う事は彼女とは
別のブロックなのだろう。
ルフィはどう思っているかは
分からないけど、私も彼女とは
別のブロックで良かったと思う。
何か事情を抱えていそうだったし、
ああ言った言葉を聞くと、優勝して
欲しいとさえ思う。

でも『メラメラの実』はルフィの
だから、どうしても渡せない。

ルフィと同じブロックになったのは
嬉しい誤算。
出来るだけ、ルフィが決勝に進みやすい
ように、私は周りの人を頑張って倒すんだ。
意気込んで居たのが伝わったのかルフィは
私を叱るような目で見つめてくる。

ルフィに見つめられると偶に、なんて言うか
心を見透かされているような感覚に陥る時
がある。
あ…見聞色のせいなのかな…。
そんな馬鹿な…。



「エアル、絶対無理すんなよ」

『大丈夫ですよ、約束したじゃないですか』

「でもお前すぐ顔に出るから分かるンだぞ!」

『え』


ルフィに言われて慌てて顔を手で覆って隠す。
時は既に遅く、しかもルフィに指摘され
隠してしまったので
私が意気込んで居たことが確定的になってしまった。
我ながら馬鹿なことを。
図星だと気が付いたルフィは顔を顰める。
抱きしめられた腕に尚更力がこもる。
でもそれは痛くなく、こんな時でも私を気遣って
くれ、嬉しい気持ちが込み上げる。

本当に顔に出ていたようで、怒ってるんだからな、
と再度告げられるがルフィは拗ねた子供のように
口を尖らせ、私の肩に顔を埋める。

可愛いとつい口に出してしまう。



「…俺じゃなくて可愛いのはエアルだろ」

『ルフィにそう思って貰えてるならうれしいです。』



いつもしている様な会話が始まり、
先ほどの拗ねたルフィはどこかに行ってしまった様で。
笑顔で話を始めた。
拗ねてるルフィも素敵だけど、やっぱり笑顔のあなたが
好きです。
コロシアムの試合の事など頭の隅に追いやって
しまい、私たちの出番になるまでずっと話ていた。




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