七夕


私がシンドリア国の食客となり数ヶ月、ジャーファル様とお付き合いを初めてから少し経ったころ、遠い東の国からいらっしゃった旅人から七夕と言う風習を聞いた

織姫と彦星の話を聞いた私は何だかとても切なくなって、ジャーファル様に会いたくなった
でも部屋に籠もりっぱなしで徹夜をしておられるあの方の邪魔は出来ない

私はシャルルカン様と剣術の稽古をすることにした






「んで、今日は何が合ったんだよ」

『へ?いや、何も無いですけど‥』

「嘘付けー、何かあるときお前絶対俺と稽古するじゃん」





図星を付かれたことにぎくりと肩を震わせるとどうにも見透かされていたみたいで、にやにやと怪しげな笑みを浮かべたシャルルカン様が近付いて肩をがしり、捕まれた






『ひっ‥!!しゃ、シャルルカン様‥?』

「‥よしちょっと話して見ろお前とジャーファルさんの恋事はすんげえ好きだ」

『いっ、いい!いいです!!』






顔に熱が集まるのを感じながら嫌々と首を振ればなぜかシャルルカン様の頬を横にびゅんと勢い良く風が通り過ぎればその後ろには大変笑顔なジャーファル様が眷属器を従えながら仁王立ちをしていた






『じゃっ‥ジャーファル‥様』

「やぁヘレン、あなたの言い訳は後で聞きます、取り敢えずシャルルカンその手を離しなさい」

「‥俺ピスティに呼ばれてたの忘れてたー!!じゃあなヘレン!」






先ほどの風のように走り去って綺麗にピースしながら逃げ出すシャルルカン様
‥シャルルカン様が逃げた‥!!






『あっ、あのっ‥!!』

「さぁヘレン、私の部屋にでも行きましょうか」






異様な威圧感、それと有無を言わせぬ笑顔を浮かべたジャーファル様にNOと言えるわけなく、されるがままに姫抱きにされジャーファル様の部屋に運ばれた

ぼすんとベッドに投げ出されればどうにか頭を守ろうと顔を上げ、重力に負け倒れ込めばなぜかジャーファル様に組み敷かれていた






『‥あの、ジャーファル様?』

「さぁヘレン、先ほどのシャルルカンとのやり取りをどう説明するんですか?私結構妬きました」


 


東の国の風習の七夕のこととそれに淋しくなってシャルルカン様と稽古をしていたこと、それについて問い詰められたことを話せばジャーファル様は脱力したように、くたりと私の首元に顔を埋めてしまった






「‥よかった、あなたがシャルルカンに告白されているのかと」

『そんな‥私にはジャーファル様だけです』

「有り難う御座います、‥それと先程の話」

『ああ、七夕のお話ですか?』

「ええ、あれに悲しむ必要は無いかと思います」






なぜ?と首を傾げれば触れるようなキスをされた後、ジャーファル様はとても幸せそうな顔でだってと続けられた








貴女には私がいますから




( ‥私はしあわせですね )

( 幸せついでにこのままどうでしょう )

( えっ )

( 位置取りも完璧ですし )

( ‥‥ジャーファル様何徹ですか )








   

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