操縦室にある機材を当てずっぽうに触った結果、電源を入れることは出来たようだ。起動を知らせる赤いランプがふわりと灯り、ちかり、ちかりと力無く点滅を始める。だが、それだけだった。灯台の光源がどうなっているのかは解らないが、これ以上機材が動き出す気配を感じられず、ハードワンは肩を落とした。
「参ったな……」
 吹雪が酷い。雪は大分積もっている。外に放り出された仲間は、何処に行ったのだろうか。彷徨い続けて体力が尽きてしまったら、生還は難しいのではないか。今、一番近くにいるのは自分なのだから、彼らの為に最後まで手を尽くさなくては。とはいえ、何が出来るのか。
 行き詰ると腹が立つ。自分の不甲斐なさを知らしめられるのは幾つになっても堪える。ハードワンは短く息を吐いた後、靴先で機材の側面を思い切り蹴り飛ばした。バン!という大きな音が灯台中に響く。
「クソ!」
 悪態を付いても、それを聞くのは愛鷹のエルモだけである。エルモはぱちくりと目を丸めて首を傾げていた。


その時だった。
ゴゥ……と、騒音が聞こえた。
瞬時、吹雪が唸りを上げたのかと思ったが、そうではない。もっと近くから聞こえる。機械が動いた音だろうか、重々しくて、人工的な音だった。しかし、目の前の機材は相変わらず沈黙し、赤いランプが灯っているだけである。
「………下か?」
 下、つまりは、自分が荷物を置き、窓枠でライトを点滅させている玄関ホールだ。扉が開いた音……と解釈すると、しっくりくる。自分が此処に入った時も同じような音がした。ということは、誰かが入ってきたということになる。仲間が漸く辿り着いたのだろうか? それとも、
 何はともあれ確認せねばならない。ハードワンは開けたままだった扉から半身を覗かせ、吹き抜けの廊下から階下を確認した。暗くてよく確認できないが、武器を持っているように見える。敵か、味方か、判別が付かない。だが、どちらにとっても袋の鼠なのだから、隠れていても仕方がない。二階に上がって来られては隠れる場所もないのだから、味方でなかった場合は覚悟を決めねばならない。ハードワンは腰に下げていた刃長30p程のナイフを握り込み、廊下に出た。
「…………お邪魔しますが聞こえないな、所属部隊は何処だ?」
 階段を下りながら、侵入者に向けて問い正す。


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次はそばさん!




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