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非常に痛い


何がどうなっているのか解らないが身体が動かない。
 顔も動かない。両手も……動かしにくい。
 ここまで揃えば何もしていなくても寝苦しいわけで。
 おまけに頭に衝撃を受けて瞼をぐっと強く閉じた。
「あー!くそ!シューニャてめぇ何で掴まえねんだよ!!」
「ぴゃあー!」
 ばさりと羽根で頬を叩かれて、バサバサという羽音と複数の靴音が遠のく。

 ああエルモか。
 お前が意識ごと掴み挙げてくれたのか。

 そんなことを思いながら目を開けると、目の前に、足。
「おい貴様ら、鳥に夢中になっていないでこっちに戻ってこい! コイツをどうするか決が出ていない」
 女の声が降ってくる。この足の主だろうか。
「鳥を人質にすりゃぁそいつも少しは話しやすくなるだろ!?」
「え〜〜鳥さんに乱暴は可哀想だよ!」
「バッカお前、人質に怪我させてどうすんだよ、丁重に扱うから人質なんだろ? 人質っていうか鳥質?」
「そっか〜〜! じゃぁ掴まえなきゃ〜!」
 
 聞き覚えがある声は先ほどのココア軍人だろう。もう一人は初めて聞く声だ。
 子供?
 だが子供が此処に居るわけも無い。ならば軍人だ。
 そうだ、窓から見下ろしていたときには3人いた。

 ぐっと身体を持ち上げるが激痛が走る。拘束されたらしく腕も前に回せないことに気づくと、自分の置かれている状況に理解が行き届いて溜息が漏れた。

 全くどうしたものかよ
 この状況を。

先ほどのココアを逃がしたのは間違いだったのだ。大いに後悔するさ。
どうにか切り抜けないとならない状況にまんまと置かれてしまった。

 ゆっくりと視線を持ち上げた。
 エルモが天高く飛び上がってしまったのか、ココア二人は離れたところでワーワーと天を見上げて騒いでいるのが見えた。
 記憶に間違いがなければ、あと一人、ストロベリー軍がいるのではなかったか?

 首を動かして視界を広げると、すぐ傍らのつま先に視線を配らせる。
「……!」
 長い脚に沿って見上げていくと、見覚えのある制服、白い髪、行き着いた女の瞼を見つける。随分高いところにある彼女の驚いた表情を見つければ、自分がうつ伏せになって伏しているんだなと今更思ったりもした。

「……ほら見たことか、目を覚ましたじゃないか」
 チ、と舌打ちが聞こえた。


 彼女とココア軍がどれほど親密なのかは知らない。
 窓の外では何を話しているかも解らないし吹雪いていてほぼ見えなかったくらいだ。

 有り体に考えれば、他国軍同士で組んだ方がお互いにとって良いだろうが、彼女がどう考えているかは解らない。
 厄介な状況に置かれたものだと眉を潜めた。舌打ちをしたいのはこっちのほうだが、黙っているわけにもいかない。

「――――……随分、ココアと仲が良いようだな」

 小声で語りかける。彼女の鼓膜には届いたようだ。

「ストロベリーはいつからココアの傘下に入ったんだ?」
 





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