お題 | ナノ


▼ 道秋



「ハァ……」
「…」
「ハァァー…」
「…」
「ハッ!ハァー…」
「……」
「ハーァアー…」
「うるさいんだけど」

夜勤がコイツとかぶったことでさえげんなりしているのに明らさまな構ってアピールをしてくるものだからいい加減イライラする。一応恋人という関係だが言葉程そんなに甘ったるいような関係ではない。

「だって秋山ぜーんぜん構ってくれないじゃん!俺寂しいよー」
「いや仕事しろよ副長に見つかったらまた怒られるぞ」

足をバタつかせながら俺にもたれかかる道明寺。重い。作業が滞るからやめろとグイグイ押しても動じない。まるで吸盤が張り付いてるようだ

「大丈夫大丈夫!てか秋山弁財とばっか話して俺に全っ然構ってくんないじゃん!」
「なんだそれ気のせいだろ。お前ともうんざりするくらい話してるよ。」
「はぁ……秋山さ、俺のこと本当に好きなの」

その言葉に動かしていた手を止めてしまう。流石に動揺が隠せなかった。なんだよ、それ

「他の奴にはさー、もっとこう優しいし穏やか秋山タイチョーとか言われてるのに俺には冷たいしー」
「それはお前が気持ち悪いことばっか言うからだろ。最初は他の人と同じ扱いだったろ」
「それってあれか、俺は特別ってことか」

黙って睨むと少ししょんぼりしてスミマセン、と一言。バタバタしてた足が止まってる。犬みたいだ。

「…それに俺は好きでもないやつに告白されてOK出すようなやつじゃない」
「そ、そうだよな、ごめん!少し不安になっただけ!だからそんな顔すんなよ!」

俺の頭をわしゃわしゃと撫でる道明寺。手を叩いても撫で続けるものだから抗うのが面倒になりそのままにしておいて再びパソコンに向かう。クソ、心臓の音がうるさい

「お前の方こそどうなの」
「え、何が?」
「お前だって、その、加茂とか日高と仲いいじゃん。キスの一つや二つしてるんじゃないないの」
「それは無い。俺は秋山とするキスじゃないと勃起しない」
「お前マジ黙れ」

思い切り足を踏みつけると耳をつんざくような悲鳴。本当は股間を蹴って再起不能にしたいくらいだ。

「痛い…痛い…でもイイ感じ……」
「キモい。」

俺に話し掛ける道明寺はさっきからキーボードを叩く手が止まっていて、完全に仕事放棄だ。ちょっと疲れたから休憩だよ休憩、とヘラヘラしながら言うが一体お前何分休憩してるんだよ…
そろそろ仕事やれよ、とふと道明寺の方を見ると俺の顔をじっと見ている顔があった。近い。

「…何?」
「なあ秋山、」

問いかける声音は先程とは売って変わって真剣な声色そのもので、いきなりどうしたのかと聞き手のこっちまで引き締まるような気持ちになる。

「俺さ、秋山のこと好き過ぎて最近よく夢精するんだ」
「お前もう死ねよ」








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