短編 | ナノ


▼ 出猿



今日も美咲に連れられ無理矢理吠舞羅に足を運んだ。のだが、珍しく吠舞羅の入口にはcloseの文字。今日は定休日ではないはずだ。おかしいな?、と裏口から入ろうとすると、丁度ドアから十束さんが出て来た。

「お、八田と伏見じゃない。」
「ちわっす!今日定休日じゃないですよね?お店どうしたんすか?」
「……言いにくいんだけどね。2人には本当の事を伝えておくよ…実は、吠舞羅が潰れるかもしれないんだ…」
「ええっ!?」
「大ボラ吹いてんじゃねーよアホ」
「いでっ!」

衝撃的な言葉を聞いて美咲がナイスなリアクションをする。それに十束さんが嬉しそうな顔をしたあと、十束さんの背後から尊さんが現れ、十束さんの頭を結構な強さで叩いた。

「草薙さんが風邪ひいたんだよ。だから今日は店閉じたんだ。」
「なるほど、…って草薙さん大丈夫なんすか!?」
「ああ。」
「インフルエンザとかではないらしいよ。ただの風邪だから1日寝たら治るってさ!」
「よかった…」
「あ!丁度よかった。俺たちこれから買い出し行くんだけど、八田荷物持ちしてよ!そんで伏見は草薙さんについててくれない?おかゆでも作ってさ!」
「いいっすよ!猿もいいよな!?」
「まあ…いいけど…」

正直面倒だとも思ったがここで断るほど俺も非情ではないので一応承諾する。そして買い出しに向かう美咲達と別れ、裏口から吠舞羅に入る。当たり前だが二階にいるらしくお店はしん、と静まり返っていた。きっと寝ているだろうとなるべく大きな音を出さないように、キッチンを借りることにした。お粥なんて作るの、いつぶりだろうか。




お粥を作り終え、二階に上がる。尊さんがいつも寝ているあの部屋で寝ているらしく、一応ノックして入る。すると草薙さんは起きていて、にこりと笑ってひらひらと手を振った。

「お粥、作れって頼まれたんで作っておきました」

ソファの隣の台にお粥を乗せたトレーを置く。すると、草薙は起き上がって持っていたメモ帳らしきものを俺に見せた。そこには「声、出ぇへんのや」の文字。なるほど。喉がやられたのか。そして新しく文字を書き、俺に見せる。「お粥、有難う。堪忍な」

「別に対したことじゃないです」

ベッドの横にある椅子に腰掛ける。気怠げに身体を起こす草薙さんを支えようと手を差し出すとなんとも意外そうに目を丸めた。そのあと眉を下げて口パクでありがとう、と言った。

「だるいんでしょ、」

お粥を掬って草薙さんの口まで運ぶ。するとなんだか、悪いな、と言わんばかりに困ったように笑ってパクリ、と食べた。その姿が普段とは違って可愛らしく見えて。
しばらくやってると介護みたいだな、とも思えてきて男が男を介護しているこのシュールな光景に少し吹きそうになった。

「あ、」

俺の手にお粥が溢れた。拭こうとすればその手は力ない草薙さんの手に掴まれた。いつもより高い体温と、少し湿っていた。

「どう、したんすか?」

ペロリ、草薙さんが俺の手を舐めた。そのままお粥は草薙さんの口内に運ばれ、ゴクリと飲み込まれる。何故か、その光景に酷く欲情した。

持っていた器を台に置いて、ソファに寝転がった草薙さんに馬乗りになる。そして口付けを仕掛けた。熱い口の中を貪るように力ない草薙さんの舌を絡めとる。
口を離せば口パクで、風邪、うつるで、と。

「…知るかよ。あんたが悪い」

草薙さんにかけられた毛布を剥ぎ取り、身につけたスエットと下着を一気に下ろし、既に半勃ちになったそれを口に含んだ。それと同時に自分の下の衣服も脱ぎ捨て、自慰を始める。垂れ流れる先走りを指で掬って後孔に指を抽挿して慣らす。ヒクヒクとモノを求めるように疼く穴が震えてたまらない。早く草薙さんのブツを突っ込んで欲しくて、必死に口淫を施した。

「……っ、っ!」

しばらくそうやってると、草薙さんの息が荒くなってきて、陰茎も限界と言わんばかりに膨らんできた。筋が張って血管がピクピクとしたモノは俺の理性を壊すには十分で、口を離して、唾液だらけのそれを慣らされた自分の穴にあてがった。

「っぁ、草薙さ、ンッ、」

ずぶぶ、グチュリ、と音を立てながら咥えていく。後孔が拡がる感覚にゾワリと背筋が震える。目を思い切り瞑っているとふと頬に体温を感じて目を開く。そこには草薙さんが俺の頬を撫でてふわりと優しく微笑んでいて。力抜いて、と。その言葉に頷き力を抜けば、下からずチュン、と突き上げられた。

「あああっ!んっ、全部入っ、た」

そう半笑いで言えば草薙さんが起き上がって俺の後頭部を引き寄せて口付けをした。舌を絡めてぐちゃぐちゃにされ、飲みきれない唾液が垂れる。

「元気になったんすか、」
「下半身はな。」

掠れた小さな耳打ちをするような声で、そう言う。

「はぅ、ぁ、あんん、」
「伏見、可愛い、ほんまかいらしくてアカンわ。」

俺の中で熱い楔が暴れ始める。それに揺さぶられながら、ただ声を上げ続けた。

「自分で動いてみ、」
「あぅ、ぅう、」

再び寝転がった草薙さんは俺に動くように強請ってきた。必死にいい場所に当てようと腰をくねらせながら上下に動く。だがなかなか見つからなくて、生理的な涙が流れる。

「ん、草薙さ、ぁン…動いてよぉ、」

にちゃにちゃと結合部からいやらしい音がなりはじめてその音に興奮した俺は前立腺関係なく激しく腰を揺さぶった。カリが奥に当たるだけで、びりびりとした快感が俺を襲う。気持ちいい。

「ん、ひゃああッ、草薙さ、ぁう、」
「しゃーないなぁ、」

瞬間、コリ、っと俺の中のしこりが刺激されぴくぴくと電気が走るような刺激。

「やあああっ!や、ぁん!!!」

腰をふるふると震わせて動きを止める俺を楽しそうに見つめながら草薙さんが前立腺だけに狙いを定めて動きを激しくする。その狂いそうなほどの快感に溺れながら、ああ、明日は風邪確定だな、と覚悟した。





翌日、思っていたとおり俺は風邪をひいた。咳き込む俺の横には草薙さんが寝ていて。伏見も看病するとか十束さんが言い出して草薙さんと同じ部屋に寝かされた。ただ、草薙さんが俺に風邪をうつしたあと治った、という定番の流れではなく。


「ゲホッ、コホッ、あ゛ー…」
「…なんでお前が風邪ひいてんのに俺治っとらんのや。」
「知りませんよー…普通の声で話せるくらいには治ってるんだからいいじゃないんですかー。そんなことよりセックスしましょう。怠いですけど」
「阿呆。もうするか。」

また運動したら治ると思いませんか、と話し掛ければ黙れセックス依存症、と吐きすてられた。








夏空さんのキリリクで出猿のR-18でした。遅くなって申し訳ないです!


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