夕暮れ時の赤が差し込む教室はガールズトークに花が咲く。(妙にテンション上がるんです)
ちなみに私は彼氏の不二くん待ちで、一緒に盛り上がっているのは友達の菊丸英二こと英ちゃん。
(ガールズじゃなくね?とか突っ込まないでください。話の内容がガールズトークそのものなんです)
英ちゃんも大石くんを待ってるみたいで、偶々教室に居合わせたもんだからと話始めて数十分。終わりはなかなか見えない模様。

話の内容が恋愛方面になると、英ちゃんは椅子から身を乗り出す勢いで食い付いてきた。


「えーっ、じゃあ名前ちゃんってそんなに早くから不二のこと好きだったんだ〜!」

「うーん、そうなるね。中1の時から気になってたし。」

「3年間ずっと同じクラスなんだっけ?」

「そうだよ。ふふ、運命感じるでしょ?」

「うらやましいにゃー!」

「英ちゃんは最近あの子とどうなのよ?」

「それがね…聞いて驚け名前ちゃん!今度デートすることになったんだ!」

「うっわ!スゴいじゃん!!おめでとう英ちゃんー!」


思わず目の前の英ちゃんとハイタッチ。なんとなくテンション的にそのままの体勢で(要するに手を掴んだままで)話続ける。


「で、どこ行くの?遊園地?水族館?それとも映画?」

「んー無難に遊園地かにゃ?」

「うっわロマンチック!ラストは観覧車乗るんでしょ!?」

「え、もうラストの話!?待ち合わせはどうとかそういう話からじゃないの!?」

「あー言わなくていいよ英ちゃん。どうせ有りがちな"待った?""ううん、全然。今来たとこだよ!"みたいなことになるんでしょ?」

「何で予測してるの!?」

「ってか手ぇ温いねー。」

「まあ、寒いからね…って違う!話が急に変わっちゃったにゃ、名前ちゃん!」

「?だって英ちゃんの手温かいし。」

「いや、そうじゃなくて……何でもないや。(この気紛れ?に付き合えるのは不二くらいだにゃ……)」

「あ…何で温かいのか解った、英ちゃん手にカイロ握ってるからか!」

「今気づいたの!?」

「ちょうだい!!」

「あげないよ!?」


などとカイロ争奪戦をしつつ、結局2人で使うことにして2人で手を合わせて、間にカイロを挟みつつぐだくだ話すこと数分。

「それでねー、その子がラブレターを渡そうとしたんだけど、不二くんアッサリ断っちゃって。」

「不二は名前ちゃんを溺愛してるからにゃー。」

「え、何で?」

「何でって…そんなの、」




「名前…っ、待たせてごめん。」

バタン、と爽やかにお待ちかねの不二くんが教室のドアを開けた。


そして開けた彼は瞬間固まった。



「あ、不二くん!」

「名前………。」

「どうしたの?」

「な、んで、英二と手を繋いでるの…?」


ひどく複雑そうな表情で見つめられること数秒。やっと私は英ちゃんと手を繋いだこの状態を誤解されたことに気づいた。


「ち…っ、違う違う違う違う!不二くん違うの、これはねさっき英ちゃんとカイロの取り合いになってじゃあ2人で使おうみたいな展開の結果なの!!ほら!!」

パッと手を離せばボトリと落ちる、カイロ。
でもごめんなさい、と不二くんを見つめると「怒ってないよ、誤解してごめん。」と優しく返ってきてホッとした。
ホッとしたので前を向けば何故か震えている英ちゃん。(どうしたの)


「…で、何してたの?」

「ガールズトーク!ね、英ちゃん?」

「ふぅん…?(へぇ、僕を差し置いて名前とお喋り?)」

「う、うんそうだにゃ…。大石を待ちつつ名前ちゃんと話してて。(こわいこわいこわい不二が怖い不二が怖い)」

「あ、英ちゃん、それでさっきの話って、」

「名前。」

「不二くん?」

「英二はもう迎えが来てるから行かせてあげたらどうかな?」

「「え?」」

「さっき下駄箱で大石に会ったよ?待ち合わせ場所間違えてるんじゃない?(だからさっさと行きなよ)」

「…っ、うん!じゃあ俺もう(不二が怖いから)行くにゃ!話に付き合ってくれてありがと名前ちゃん!不二ごめん!」

不二くんが笑顔で促すと、英ちゃんは荷物をスゴい勢いで掴んで(まるで逃げるかのように)教室から駆け出ていってしまった。



教室に残ったのは、もう冷えたカイロと釈然としない私とニコニコの不二くん。

不二くんは私に近寄ると、手を握った。
私は握られつつ拗ねたように呟く。



「…不二くん、何で英ちゃん追い払っちゃったの?話してる途中だったのに。」


すると不二くんは困ったように笑って握る手に少し力を込める。


「だって、名前が英二と楽しげに話すのをこれ以上見たくなかったんだ。名前が笑顔を向ける相手は僕だけで良いし、手を繋ぐ相手だって僕だけで良いのに。」


(不二くん…ちょっと理不尽だよ)
でも、そんな風に嫉妬してくれて、そんな風に笑われたら…許しちゃうじゃないですか。(私も甘いな)


私はゆるりと笑って不二くんの手に指を絡めた。



「ごめんね、もう気にしてないから。だから、いつもみたいに笑って?」

「……嫌だ。」

「え、」


ちょっ、じゃあどうすれば良いの!?と反論しかけたところでふわっと体が浮いた。気づけば目の前は学ランの黒。私の体は不二くんの腕の中。


「ふっふふふ不二くん?」

「…抱き締められるの、嫌?」

「い、嫌じゃないけど急にはびっくりするよ!」

「嫌じゃないなら良いよね。僕、いま名前補給中だから。」



(補給中って何ですか!?)

思いつつも不二くんに抱き締められるのは嫌いじゃないので反論する気も起きなく、ポスンと身を預けることにする。途端に強まる腕の力。



「…僕はね、名前。結構怒ってるんだよ?」

「え…。」

「英二と無駄に仲良いし、僕のことは名字呼びなのに英二はニックネームだし。」

「名前で呼んで…良いの?」

「むしろそうしてほしいよ。僕は名前って呼んでるんだから。」

「し…周、助、くん。」

「うん。」

「(腕の力がさらに強まった!?)ちょ、周助くん苦し、」

「…あとね、寒いならこうして僕が暖めてあげるから。だから、」



簡単に他の男に触れるなよ
と私の肩に顔をうずめる周助くん。こうしていると確かにぬくぬく温かい。
周助くんがまだ不機嫌なんだろうなということは、なんとなく察せたので、ギュ、と私も彼を抱き締め返して肩におでこをつけた。



「ごめんね、周助くん。でも私には周助くんがいればそれで良いから。」


そう言うと周助くんはバッと顔を上げて私を見つめ、いつもの綺麗な笑顔で「僕も名前だけいればそれで良いんだ」と言ってくれる。



「たった一言で機嫌治してくれるなんて。」

「名前だってそうだろう?」

「…そう、だけど。」

「僕は名前が大好きだから、君に甘いんだ。」



赤面した私に、くすっと勝ったように笑う周助くんに私も負けじと呟いた。

「私だって周助くん大好きだから。」



嬉しげな周助くんがしばらく抱き締める腕を解放してくれなかったのは、言うまでもない。






君に甘い私と、私に甘い君
(人はそれをバカップルとでも表現するのだろうね)









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和さんに相互記念文として差し上げます!
不二さんがあんまり黒くないです、あんまり甘くないです、しかもなんかぐだってしまいましたすみません!!←
こんな駄文でよろしければ貰ってやってください(*^^*)

相互ありがとうございます!\(^^)/
和さんのみ、お持ち帰り可です。




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