Commemoration | ナノ


Blushing(ジュミラ)





一日に何度も、ジュードは胸元にあるペンダントを握りしめた。

彼女が彼女が信頼の証として、自分に贈ってくれた、とても大切なもの。


もちろん、今でも鮮明に思い出される。


その時は、自分は彼女に信頼されているんだと思えて、そして彼女が自分を必要としてくれているんだと思って、とてもとても嬉しかった。


一緒にいてもいいんだって。



ミラがジュードに身につけてくれた日から、ジュードはずっと肌身離さずに身につけていた。

男がアクセサリーを身につけるなんて、女々しいかもと周りは思うかもしれない。


もちろん、そんなことを微塵たりとも思わなかった。


そしていつでも、どんな時でも、ミラが傍にいてくれているような気がしていた。


それを痛感したのは、ミラを失くしてしまった時だったが。





ミラは見ていた。
戦いの度に、自分が贈ったペンダントが揺れて、ジュードの首筋から何度も姿を現していたことを。


自分が贈った物を、ずっと身につけているのを見るのが、こんなにも嬉しいことだとは思わなかった。

まるで、ジュードを、自分の手の内に納めこんでいるようだった。


そんなことを考えた自分に、背筋がびくりと震えたが、だがその通りだった。


離れないでいてほしいと思ったし、ジュードがいてくれるから、大丈夫なんだと、ガラス玉の澄んだ色が、オアシスのように見えて、それがジュードを連想させる。

ペンダントについているガラス玉が、後に自分にとっては胸が裂けるような出来事だったとしても、あの時の一緒に遊んだ思い出は変わらない。


ガラス玉には新しい思い出もまた加算されていく。



「……まだ、身につけてくれていたんだな」



ミラが現世へと降り立って、ジュードと再会して、それから少したった時。

ジュードが肩に怪我を負って、治療している時に、ミラが包帯を巻くのを手伝っていた。

シャツから右肩を出し、ミラはジュードに言われた通りに包帯を巻く。


そして、首元のペンダントが、ミラの視界に入った。



「もちろん、ずっと、身につけてるよ」



ジュードは左手でペンダントを握って、ミラに見せた。



「ミラがいなくなった時、どうしたらいいのか、わからなかった。でもペンダントを見て思い返して、ここで止まってちゃダメだって……そう思ってたよ」



正気を取り戻してから、周りの仲間に支えられたから、ジュードは前に進めた。こうしてミラとまた再会することができた。

ペンダントを見ては彼女を想い、いつミラと再会しても、恥ずかしくない人間でいなくてはと思っていた。



(あの時、私がペンダントを贈った時のジュードと、大分雰囲気が変わったな)



ミラは再び、そう感じた。


ミラは手を伸ばし、ペンダントのガラス玉に触れた。
しゃがみこみ、ペンダントに唇を添えた。


「ミラ」

「ここに、別の意味も込めさせてもらったよ」



とんとん、と指先でガラス玉を弾き、ジュードの首元に当てた。



「じゃあ、受け取らなくちゃね」



ジュードもまた、ガラス玉を手に取り、ミラが触れた場所に唇を触れた。

それはとても長いものだった。



「ちゃんと受け取ったからね、ミラ」



唇を離し、ミラの首元を、人差し指でとんとんと叩く。


今度赤面したのは、ミラの方だった。






―――――――――
ジュミラでペンダントネタか、数年後再会して、ジュードにドキドキするミラ(匿名様)

今回はリクエストありがとうございました!ペンダントの方で話を書かせていただきました!
拙い文ですが、楽しんでいただけると嬉しいです。


2011.10.11


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