Commemoration | ナノ


手の鳴る方へ(ガイレイ)









自分の周りにいる仕えてくれている四像刃は、それぞれの個性が強すぎる。

誰ひとりとして、性格が被る者はいなかった。
四像刃がそれぞれ上手くやっているのかと聞かれたら、それは違うと思う。

仲良しごっこをするために、自分の元に置いているわけではないのだから。

出身地とか、今までの生い立ちとか、そんなことを望んでいるわけではない。
自らの元で、力を発揮してくれれば、それでよかったんだ。



ミラ=マクスウェルと対峙し、彼女と共に度をしている人間の奴らが、こうまで幼いのが多いのか、そのことに驚愕したもんだ。

アルヴィンから情報を仕入れていた時は、最初は信じることができなかったが、対峙した時に本当だったんだと思っていた。

自分の元にはアグリアもいるから、年齢が低い人間が役立たずなどとは思わない。

ミラの隣にいたジュードにも興味を抱いた。
さすが、マクスウェルが頼りにしているだけの少年である。

疑問に思うことも、これからのことも、返してくるのは、年相応なものではなかった。



次に彼が目をやったのは、その彼、ジュードの後ろにいる少女の姿。
ガイアスは、王である自分に対しての、初対面での会話で、こうまでラフに接してくるのは、未だかつてない経験で、少し顔を歪ませたりしてしまっていた。

だが、面白いと思ったのもまた事実。


彼女を呼び止めては、ジュードの事で話があるから、皆に内緒で謁見の間に来いと呼び出しをかけた。



「うん、わかった」



自分に対して恐れをなさないこの態度が、彼は気に入った。
いつもは仏頂面でいる自分の表情筋が柔らかくなっていく。



「対したものだな」




謁見の間にて、椅子に腰掛けながら、彼はレイアが来るのを待った。




「失礼しまーす」




重いドアが開けられて、そのドアから小柄なレイアが、ひょっこりと姿を現した。
レイアは辺りをキョロキョロと見渡した。確かにガイアスの言うように、兵士もいなければ、いつも傍にいるカラスの人(と認識)がいない。



「ここまで来るんだ」



ガイアスが人差し指を、くいくいっと動かし、こちらへ来いとレイアを呼び掛ける。
一体なんなんだろうとレイアは首を傾げたのだが、レイアは一歩ずつ、ガイアスの所まで足を進めていった。


許されていい位置までたどり着いた時、レイアはそこで止まったのだが。



「もっと、だ」




ガイアスが、もっとだと促した。
そんな近くまで行っていいのかと、レイアは戸惑うが、あまり失礼な事しちゃダメだよと、ジュードに釘を刺されてしまったことを思い出し、なるべく言う通りにしようと試みる。

結局レイアは、ガイアスの顔がはっきりと見える位置までたどり着いてしまった。

しかし本当に、仏頂面をしている。固い。
そのせいか、元々の顔が彼の格好よさを引き出しているのであろう。
しばしレイアは、じっと見つめ続けてしまった。

レイアのその行動も、ガイアスは面白く感じ、何も言わずに、レイアを観察した。



「あ」



そしてレイアは、我に返る。



「気は済んだようだな」

「あ、はい!じゃなかった、ごめんなさい!」

「いや、構わん」




しかし何故、こうも引き寄せられてしまうのか。
これが彼女が持つ素質なんだろうか。

自分の側に置いたら、どうなるんだろうか。
それもそれで、楽しいのではないだろうか。

自分に対し恐れもせず、それは彼女の強さを現していた。
ミラにも強さを感じてはいたが、精神的な強さを持っているのは、彼女の方が強いはずだ。

王の側にいるには、ふさわしい女性。




「名を、なんと言う」

「わたし?あれ、知らなかったんだっけ、レイア。レイア・ロランド……」



やばっとレイアは口を手で押さえた。
やってしまった、気をつけていた言葉遣い。
これは怒らせてしまったのではないだろうか。
レイアは恐る恐るガイアスを見た。



「レイア」

「はい!ごめんなさい!!」

「何故謝る」

「何故って……ひゃっ」



レイアはガイアスに持ち上げられた。
それははたから見れば、園児が高い高いをされているのと同じようなものだった。

絶対怒らせてしまったと、レイアは覚悟を決めていた。




「レイア・ロランド。俺の元へ来ないか」

「え?」

「お前を俺の側に置いておきたい」







それは予想外の言葉。
レイアは状況を整理するのに必死になり、頭の中はキャパオーバーしてしまっていた。






――――――――――
レイアを傍に置こうとするガイアス王(匿名様)

タイトル・Evergreen



今回はリクエストありがとうございました!
拙い文ですが、楽しんでいただけると嬉しいです。


2011.11.15


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