Commemoration | ナノ


※ソリチュード side L(アルレイ)







※観覧注意








それは彼の自暴自棄の行いから始まったと、わたしは思っている。

精神的にも彼はきっと、極限状態で、麻薬を吸ったかのように、おかしくなってしまっていたんだよ。

傷ついて傷ついて、自分をめちゃくちゃにしてしまいたかったんだ。




レイアは自分の来るタイミングを間違えてしまったと、心の中で思っていた。
基本的に何を考えているのかが、まったくわからない彼だったが、ここまで荒れ果ててしまっているとは予想外だ。



「なんで俺なんか構うの?」

「だって、ほっとけなくて」



誰だって、こんな、今からどうなってしまうかわからない人を、放っておけるわけがないじゃないか。
彼は冷たい瞳をして、怖くて、怖くて、たまらなかったけど。



「こんな、今にも泣きそうな顔、してるのに」



レイアはアルヴィンの頬を撫でる。肌はとても冷たく、こちらも凍ってしまいそうだった。
それでも彼の唇は尖ったままだ。そしたら今度は、彼はくくっと豪快に笑い出して。



「くっくっく、ははははは」

「アル…ヴィン………?んんっ……!」



次に気づいた時には、レイアはアルヴィンに抱き寄せられて、唇を塞がれて。
彼の舌はよく動き、キスひとつで、レイアの体の動きを完全に封印する。

あまりの深さに、レイアは呼吸ができない程に苦しく、何度もアルヴィンの胸板を叩いた。

それでも彼は、解放してくれなかった。



「……知らないからな」



それが合図と共に、レイアの体はアルヴィンへと持っていかれる。
彼の体という巣穴へと。


それから、かなりといっていいほど、荒々しく、体がバラバラになってしまいそうだった。
もう無理だと思った。体力の限界もとうの昔に迎えていた。

どれだけ自分を傷つければ気が済むんだろう。

生きる気力を失っているから、何をしてもいいなんて、そう思っているんだ。
傷つくことに喜びを感じてしまっているんだ。

みんなみんな、自分を嫌いになってしまえばいいんだと。


アルヴィンは言葉に出すことはなかったが、レイアはそれを理解することができてしまったのだ。
それはジュードとレイアの一連の出来事があったから。



「そんなに自分を傷つけてさ、楽しい?」



つい、言ってしまった。
これが彼に敏感に反応させてしまったんだろう。
その後からが更に、やばかった。

後ろから思いきり突かれ続けて、下腹部が裂けてしまいそうに痛かった。
ガクガクと足が震える。もう立てない。
そうしたら彼は、今度は床にレイアを押し倒し、また挿入を再開する。




「どうして泣かないんだ」



ああ、やっぱりそうなんだ。
朦朧とした意識の中でも、レイアの視界はしっかりと彼を受け入れ、彼の心情を察する。



「あ……っ……、だって……泣く必要なんて……ないじゃない……っ……ん」

「俺にここまで、酷いことされてんだぞ」

「酷くなんか……ないよ………だってわたしは……」



あなたの事が好きだから。
そんな大事な言葉を、彼女は彼に伝えることができなかった。

アルヴィンはわたしに泣いてほしかったんだ。
きっとこんなことして、泣かせて、それを見て、また傷ついて。

そんな負のループを続けてどうするの。少しは前に進まなくちゃいけないよ。


彼をどうしても、ここから、暗闇から連れださなくてはならなかった。
レイアはこれ以上、彼に酷いことをしてほしくなかったし、こんな顔を見たくない。見るならやはり、笑顔の方がいいに決まっている。



「はぁっ……ん……!!」



やばい、自分はもう本当に限界のようだ。
目を開けていられない。
体も段々と汗が引いて、冷たくなってきてしまった。


(このまま、殺されちゃうのかな)


ここで諦めたら、彼はもう、自分の事を受け入れてくれないだろう。



最後の力を振り絞り、レイアはアルヴィンの首元に手を回す。



「レイア」

「っ……もう…傷つかないでよ………そんな必要…ないじゃない……」

「……20年って、そんな簡単に埋められるものじゃないんだぞ、長い年月を重ねてきたから、俺は今、おたくをこんな酷い目にあわせることができんだよ」

「酷くなんかない、わたしは、あなたを助けたい……」

「このお人よしが」




それ以降、レイアの意識は途絶えた。

次に目を覚ました時は、冷たい床の上だった。
ぼんやりとしては、体を動かそうとするものの、起きることはままならなかった。

外は真っ暗だった。
室内も電気を付けられていない為、漆黒の闇の中に自分はただひとりきり。



(……無理、だったかな)


わたしに彼をつなぎ止めること、やっぱり不可能なんだろうか。
わたしにしか出来ないことだと思うのに、その思考も間違ってたりしちゃうかな。


「う………っ、うわああぁぁああんっ……!!」




ずっとずっと我慢していた涙を彼女は流し出した。
体の痛みなんてどうでもいい、彼を、アルヴィンを闇から連れ出すことができなかったよ。

悔しいよ、嫌だよ、もう傷ついてほしくないんだよ。



「っ……」




自分の涙がなくなりそうなくらい、レイアは泣き続けた。
月明かりがそんな彼女を包みながら、輝いていた。





――――――――――
アルレイでソリチュードの続きレイア視点(匿名様)


今回はリクエストありがとうございました!
拙い文ですが、楽しんでいただけると嬉しいです。



2011.11.13


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