Commemoration | ナノ


Direct employment(ジュミラ)






生命の鼓動。命の息吹。

自分がこうして使役されるのは、今まであるはずもない。初めての経験だ。

そして最初で最後。

ジュードがミュゼを使役していたと聞いた時は、正直、面白くはなかった。

君の傍には、本物のマクスウェルがいるというのに。
しかもミュゼは、ジュードとの使役を照れくさそうに語る。
ジュードがミュゼを呼ぶ。その光景を見るだけでも、本当に切なくてどうしようもなかった。
ジュードの鼓動も体温も、ミュゼには先に知られてしまった。



(だから、というわけではないのだがな)



ミラはジュードに、私を使役してくれないかと頼んだ。

最初はジュードは断った。僕にミラを従わせる意味なんてない。僕の意志でミラに力を使わせるわけにはいかないからと。



「嫌、なんだな」



そういうことを言いたいんじゃないんだよって、ジュードは思った。
ミュゼは力が足りないから、助けてほしいからと頼まれたからであったし、ジュードが本当にミュゼに力を与えていたのかどうかも、わからない。

知らないうちにミュゼが回復していたから。





「いいじゃないか、私もジュードに力を与えられたいんだ」




唇が動くのが止まらない。次から次へとこぼれ落ちる。


『ジュードの使役、ですか?ガイアスの使役も凄かったけれど、ジュードの使役は温かさがありました。体全体を彼は満たしてくれましたわ』



思い出しながらミュゼは語っていたのだが、その時も彼女は、頬を染めて、瞳を潤ませ、もじもじとしていて。


自分もそれが知りたくて、こうして頼み込んでいるというわけだ。




「私を使わなくてもいいから、ただ、君に私を使役してほしいんだ」

「それさ、ずっと思ってたんだけど、使役ってどういうことなの?ミュゼもなんか、恥ずかしそうにしていたし」

「すまないが、言えない」




そこはミラも口を閉じた。



「うん、わかった。ミラがそこまで言うんだもんね、僕が何かしてるかわからないけど、そうさせてもらうよ」

「ありがとう、ジュード」



ミラはジュードの体に触れては、ぴったりとくっつきあう。手を繋いだ先からは、体中に温かい何かが入り込んできて、ミラ全体に行き渡り、そしてそれが気持ち良く、違った意味で胸が張り裂けてしまいそうだった。



「気持ちいいの?」



ミラが見たことのない表情をしているのを見兼ねて、ジュードはミラに問い掛ける。



「ああ、気持ちいい。やばいな、体中が満たされていく、温かい。これが君か」

「言葉だけ聞いたら、相当やばいこと言ってるよ」

「だがな、そうなんだよ」




このような思いを与えられては、確かに自分を使役してくれる人の役に立ちたいと心から思うだろう。

それはまるで、恋に似ている。









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ジュミラ直接使役ネタ(匿名様)

今回はリクエストありがとうございました!
拙い文ですが、楽しんでいただけると嬉しいです。



2011.11.8


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