恋愛ア・ピアチェーレ(アルレイ)
新しいリーゼ・マクシア、そしてエレンピオンスの世界の形が造られ、世界はまた、平穏の日々が訪れる事となる。
誰よりもずっと、この日を待ち望んでいたのは、アルヴィンだったのかもしれない。
幼少期から長いこと、ずっと上っていた階段の終わりが、ようやく見えたのだ。
何もかもがどうでもよくて、ただ、ひとつの目的さえ果たすことができれば、それでいいんだって。
どれだけの人を傷つけてきただろう、泣かせただろう、殺してきたんだろう。
唯一、信じ合える仲間さえも、彼は殺そうとした、だがそれはできなかった。殺したくなかった。
そんな中途半端さが祟って、彼女、レイアを傷つける結果になってしまう。
口をまともに利く事もなくなり、それがいかに淋しいということをを思い知った。
ジュードやミラ、ローエン、エリーゼがぎこちなくとも、話をしてくれるのが嬉しかった。
ただ、レイアとだけは、話をすることすら、できなかった。
彼女が、ガイアスの事で意見した自分に対し、意見を述べてくれた時、胸の奥から沸き上がった、どうしようもなく嬉しいという気持ち。
頬を染めていたレイア。
まだ大丈夫なんだと思えた。
まだ自分にも、もう一度、やり直すチャンスがあるんだって。
彼女とのぎこちなさは、相変わらず続いた状態ではあったが、時間がかかってでもいいから、正面から自分と向き合って欲しいと望みを繋げたかった。
「レイア」
小さな用事を口実にしては、レイアを呼び出し、できていた溝をなくそうとしていた。
レイアが断らなかったのには、本当に助かった。断られたとしても、きっと誘い続けるだろう。
らしくないのかもしれない。
ただ、諦めたくなかった。振り向かせたかった。
「サンキュな来てくれて」
「ううん、大丈夫だよ」
旅している時は、気づかなかったのだが、レイアも明らかに雰囲気が変わった。
顔立ちもだが、少女の面影が薄れ、女性へと移り変わろうとしているのがわかる。
「なんかさ、綺麗になったよな、レイア」
無意識に口に出してしまった言葉に、アルヴィンはハッと我に返る。
「大袈裟じゃない?わたし、まだ15だし、まだまだ子供だもん」
レイアに淡々と返されて、アルヴィンは返す言葉も見つからずに苦笑する。
照れも恥ずかしさも、レイアからは何も感じられなかったからだ。
(俺の言葉には動じない、ってか)
「大袈裟にとらえてるのはおたくだろう。俺は冗談でこんな事言ったりしねえし」
「どうかな、だって、アルヴィン、どれが本当の言葉かなんて、わかんないもん」
「それは」
「まあまあ、気にしないでよ」
一度過ちを犯すと、修復するのは難しいというが。
自分が何を言っても、レイアにはすべて、信じてもらえないのだろうか。
「レイア」
「何?」
「レイアは綺麗になったし、可愛いし、おたくの笑顔も、声も、行動も、強さも、何もかもが俺を虜にさせちまってんだよ」
言ってやったぞ、と彼は得意げになる。
これで少しはわかるだろ、自分がレイアを口説いているっていうことが。
「アルヴィン、どしたの」
「は?」
「いや、そんなこと言うなんて、なんかあったの?大丈夫?」
レイアが本当に疑問そうな顔をしている。
おいおい、ここまで言ったのに、なんで気づかないんだ、せめてありがとうくらい言ってくれよと、彼は痛切に思った。
「どうもしねえし」
「そう?なら、いいんだけど」
「っとに、可愛い顔して、中々やるな」
「こんなの普通だよ」
「レイア……」
アルヴィンは、これは何を言っても、彼女には届かないし無駄なんだと思い、次をどうしようかと考えていた。
最終手段は、強引にいくしかないとは思うが、少しは余裕を持たなければ、レイアを口説き落とすしかないと、模索を続けていた。
「ホント、真剣になっちゃって」
レイアが一言、ぽそりと呟いた。
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アルレイED後で鈍感レイアを口説きまくるアルヴィン(匿名様)
タイトル・涙星マーメイドライオン
今回はリクエストありがとうございました!
拙い文ですが、楽しんでいただけると嬉しいです。
2011.11.5
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