Commemoration | ナノ


You who are ill-natured(ジュミラ)







それはいくつもの奇跡や、偶然が重なって、こうして再び、お互いの姿を確認することができたんだろう。

何度も夢を見て、繋がる先の、キミと共にいる未来を信じて、最後に指を絡ませてからの重ねた手の平に、ジュードもミラも、口に出すことはなかったのだが、『いつかまた』というのを伝えていた。







あの最後に握りしめた手を離してから、数年の年月が立つ。
ジュードは学会や研究、医師としての活躍が続いている。それはそれは多忙の日々だ。

少しは休息がほしいと願うこともある。

一息つく時に必ずといっていいほど、眺めているのは、ミラがくれたガラス玉のペンダントである。
手の平に乗せては、サマンガル街道での、あの夜の出来事を思い出し、ジュードは笑みを零す。

そうしては、まだ、ミラに憧れてミラの役に立ちたくて、必死だったあの頃の自分が恥ずかしく、今でも「僕がずっとやってあげるよ」と口走ってしまった自分に対し、穴があったら入りたいと思った。

どうしても彼女の傍にいたかった。いさせてほしかった。

だけど今の自分は、そんなことは思わない。
その証拠に気持ちのブレはなかった。彼女と会わない時でさえも、自分はミラと共に生きているんだ、と何故かそう思えたからだ。


ほら、だから、こうして、今だって。



「ジュード」

「ミラ」



ジュードが手を延ばした先にはミラがいる。
数日前ではあるが、声だけしか聞こえる事ができなかった彼女、ミラが、姿を具現化することができ、ジュードの目の前に姿を現した。

勿論ジュードは驚いた。

姿が見えなくても、ミラは自分の近くにいるという錯覚にも近かった感覚が、現実のものとなった。

最後に握りしめた手の平が、また触れ、指先がもつれあった瞬間に、ああ、本物なんだとお互いに確認し合う。


ミラが姿を見せた事を、ジュードはまだ、仲間内に知らせてはいなかった。
知られてしまっては、ミラに会いたがっている皆が、毎日のように訪れてくることであろう。


ジュードはミラと二人の時間を過ごしたいと望んでいたから、あえて言わずに黙っていた。



「おかえり」

「うん、ただいま」



ミラはジュードの帰り着く時間を計算し、ジュードの家へと降り立つようにしていた。
ミラもジュードと共に一緒の時間を過ごしたかったからだ。

せっかく姿を具現化することができたのだから、あれほど恋しくて仕方がなかった、彼と一緒にいたかった。

ただ、ミラは、日々ジュードに困らされている。




「ミラ」



帰ってくるとジュードは、ミラの顔に近づいて、キスをするようになった。
軽く触れるだけのフレンチキス。
最初にジュードにされた時は、ジュードって、こういうことを、さらりとしてしまう奴だったっけと、ジュードへどう対応していいのか、困り果てた。

ジュードは辱めもなく、顔色ひとつ変えることはなく、ミラは彼は男の子から男性になったんだと、しっかりとした顔付きになった彼を見ては、頬を染めることも少なくはない。


だが今日のジュードは更に違った動きを見せる。

頬を染められたことに気づかれたのか、彼はミラの顎を掴み、唇をなぞる。


「……どうした」

「顔赤いよ?何かあったの?」


ミラが頬を染めている理由をわかっているが、ジュードはミラへと問いかける。
このままでは危険だ。
何かをされるからというわけではなく、ミラはジュードを求めてしまいそうで恐れを成した。

ジュードがくしゃくしゃに、ミラの頭を撫でる。
それさえも、ミラは自分の行動範囲を失わせた。


「どうしたの、ミラ。熱でもあるのかな?」


今度はジュードが額を合わせてこようとしたから、ミラは目一杯、光を遮ろうとした。
ジュードがこんなにも近い。そして、子供扱いをされているのが、面白くなかったのだが、何故だろう、反論することができないのだ。


「熱はないね」

「あるよ、君のせいで体温が上昇した」

「僕のせい?」

「そうだぞ……まったく」



いつから僕は、彼女を攻めるようになってしまったんだろうか。
というか、本当に策を練っている時は、これ以上に、ミラを真っ赤にさせることができる。

今は、これだけでいい。



「ミラ、僕のこと嫌い?」

「どうしてそうなる」

「だって、僕のせいで、ミラの体温、上がっちゃったんでしょう?だったら、ちゃんと責任とらなくちゃいけないよね」




ジュードがミラの首筋に舌を出して、下からなぞるように舐める。

ぞくっとミラの体が震えた。それがジュードにもわかって。


「これで、大丈夫かな」

「……本当、君には……やられっぱなしだな……」




私がどんな想いをしているか、わかっているのか。
だが、それもきっとジュードは気付いているのであろう。






―――――――――――
ジュミラでEDから数年後に再会し、積極的で強引なジュードくんに慌てるミラ様。甘々もしくは裏(匿名様)


今回はリクエストありがとうございました!
拙い文ですが楽しんでいただけると嬉しいです。


2011.11.4


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