Commemoration | ナノ


気が付くと君色ばかり(アルレイ)








いつもより早く目が覚めた。

室内の空気が、なんだかとてもひんやりして、寒くて、目を覚ましてしまった。
わたしは横に少し転がって、ベッドから脚を降ろす。

「…レイア」


ふと、隣で眠っていたアルヴィンがわたしに声をかけてくる。
やばい、起こしちゃったかなと思ってわたしは、もう一度ベッドに上って、アルヴィンの顔を覗きこんだ。

そうしたら、アルヴィンが目を開いた。
目を擦って、そしたら、わたしを引っ張って、わたしはアルヴィンの腕の中へ吸い込まれてしまって。

「ちょっ……起きてるの?」

「起きてる。あんま騒ぐな」

「ほ、ほら、もう起きないと、アルヴィン君だって、お腹空いたでしょ」


それでもアルヴィン君は、わたしを離そうとはしてくれなかった。
別に何かをされるわけでもなくて、抱きまくらに近い感覚なんだろうか、わたしの腕も彼に拘束されて、身動き一つとることができなかった。


「レイアを喰いたいな」

「え、ちょっと何言ってるの、べ、ベタなセリフだよ?」

「それでも、言われてドキッとしたくせに」

「そんなこと…ない」



なんて言っちゃったけどさ、やっぱり、そういうことを言われちゃうと、心臓がバクバクしちゃって、たまったもんじゃないよね。
だって、アルヴィンならやりかねないんだもん。
わたしは本当に食べられちゃう。
そんなこと言ってる昨晩だって、わたしは、彼に……食べられてしまったんだけど。

「昨日だって、俺に喰われちまったもんな、嫌だよな」

「嫌じゃないよ、ただ」

「ただ?」

「そんなに、欲情するもんなのかなーと思って。その…わたしなんかに」




アルヴィンが、わたしを求めてくれるのは嬉しいよ。
でもさ、やっぱり、アルヴィンの元カノや、アルヴィンの年齢を考えると、わたしより、綺麗な人はたくさんいるわけじゃん。
いつかはわたしもアルヴィンと同い年になったら、ちょっとは綺麗になって、ちょっとは成長していると思ってはいるけれど。

でも彼は、つまんねえこと気にするなって、言うのもなんとなくわかってる。

アルヴィンがわたしを拘束していた腕を離して、わたしはベッドへ横になった。
アルヴィンが顔を動かしてきたから、つられてわたしも、顔を動かして、そうしたら近づきすぎて、おでこをぶつけてしまった。


「そんなに、くっつきたかったのか」


アルヴィンの言葉にも、言い返す事ができなかった。
そりゃあ、近づいてきたら近くにいこうとないじゃない。
おでこがぶつかったのは予想外だったけど、でも、そう言ったアルヴィンが、嬉しそうな顔をしているから、何にも言えなくなっちゃった。

本当に、幸せだって、好きだよって、惜しみなく伝わってくるの。


「男は性欲の塊だっていうけど、やっぱ、本命とそうじゃねえのは、違うんだよ」

「そうなの?」

「俺の傍にいるお前なら、わかるだろ。わかんねえかな、俺が今、レイアとこうしていて、他の奴の前ではしない顔、してないか?」

「…してる」

「やっぱりか、だっせえな、顔には出ちまうんだな。レイアがこんなにも好きだっつうのがな」




ほらまた、あなたはそんな顔をわたしに見せるの。反則な表情。わたしをときめかせる。声も言葉も。

あなたの愛が伝わってくるから、わたしも伝えなくちゃって思うの。



「ね、食べちゃっていいよ」

「何を」

「その…わたしを」

「今日動けなくなっても、知らねえぞ」

「そしたら休むからいいもん。勿論、アルヴィン君も一緒にだよ」



恥ずかしくなったから、そっぽを向いてしまったけど、アルヴィンが捕まえるのは早かった。


「レイア」


わたしを呼ぶ彼の声が、わたしを熱くさせる。

わたしは彼に、食べられる。





―――――――――
アルレイで甘い話(紅葉様)
タイトル・涙星マーメイドライオン

遅くなってしまいましたが、こちらを相互記念としまして、紅葉様に差し上げます。よろしければ受け取ってください。

今回はリクエストありがとうございました!
拙い文ですが、楽しんでいただけると嬉しいです。



2011.11.3


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