Commemoration | ナノ


Absolute domain(ジュミラ)





通常の衣装と比べ、丈は短い。
長い服は、自分には合わないと思っていたし、やはり動きづらいのは嫌だった。

髪型は束ねた。
これはやはり、清潔感を出さねばならないとのことなので、二つに分けたおだんご頭。

この髪型は気に入っていた。
髪型をまとめるのも悪くはない。屈んでも長い髪が垂れることはないし、髪が崩れさえしなければ、楽だ。

どうしてこれまでやれなかったのかといえば、自分ではこのように綺麗にはまとめることができなかったからだ。

いつも代わりにやってくれたのは、一緒にいる彼、ジュードであった。



ジュードは毎日、ミラの髪をとかし、そして彼女の髪型を触る。
ミラの髪を触るのがジュードは好きだった。
綺麗な色をした蜜色の髪が、手の平を流れる度、何故かほっとする。

器用な彼は、おだんごを作り上げてしまうのもあっという間であった。

束ねている途中、たまにどうしても、ミラの脚に目が動いてしまう時があった。

メイド服にしては、丈は短いし、そしてガーターも身につけているわけであって。

何度意識を、そちらにもっていかれただろう。
手の動きが止まる度、ミラには「大丈夫か」と声をかけられてしまったものだ。


「ふむ、今日も完璧だな、ありがとうジュード。いつも感謝している」


鏡を見て、ジュードが作ってくれた、おだんごヘアーのおだんごに手を触れ、叩く。


「あんまり触っちゃダメだよ、崩れちゃうから」

「ああ、すまない。嬉しくてついな」


毎日のこの時が、ミラは幸せな時である。
ジュードにこうしてもらうのが、くすぐったくてたまらない。

安心して任せられる。



「ジュード、こっちを」


ミラが立ち上がり、ジュードを椅子へと誘導する。
椅子に座ったジュードは、ミラと鏡越しで視線を合わせた。
ミラは後ろにいるのに、鏡で見つめ合うだなんて、自分がどこを向いていても、どんな顔をしているのかもばれてしまう。

今まで考えたこともなかった。

ミラの髪に触れられる、ただそれだけで、幸せで、満足して。

ミラの指がジュードの髪を掻き分ける。ぴくっとジュードの耳が動いた。
照れているのだろうか。ミラは反対側もそうしてみたら、またジュードは反応する。


「ミラ、僕は自分でセットするから大丈夫、だよ」

「いいじゃないか、私にもやらせてくれ。私の髪は長すぎるが、ジュードくらいの短さなら、上手くできるさ」

「……わかった」

「うむ、座っているんだぞ、ご主人様」



ジュードはミラに根負けする。
ミラがセットしてくれている間、ジュードは鏡に写ったミラの姿をずっと見ていた。
ミラはジュードのメイドというわけではないのだが、このメイドにお世話されてしまっては、そういう気持ちを発生させてもおかしくはないだろう。


「ミラ」

「ん?」

「僕が毎日、ミラの髪、セットしてあげてるじゃない。その…僕の髪も毎日、ミラがセットしてくれないかな」



ジュードも、仕事前に、この幸せな時間を延ばしていたかった。だからミラにお願いをした。


「ジュードがそうしたいなら、構わないよ」



手を止めたミラは、ジュードを横から抱きしめ、くっつく。
突然の出来事に、ジュードは困惑した様子を見せたが、


「じゃあ、僕の髪は、メイドのミラさん、セットをお願いします」

「かしこまりました。ふふっ」




ジュードの動く耳を見て、ミラはまた、ジュードにくっついた。





――――――――――
ジュミラでメイド服ネタか、大人になったジュードがガンガン押して照れるミラ(えーこ様)


この度はコメントありがとうございました!
私の書いたジュミラでキュンとなって下さって嬉しく思います。
今回はメイドで書かせていただきました。攻めジュード君も好きなので、書いてみようと思います。

今回はリクエストありがとうございました!拙い文ですが、楽しんでいただけると嬉しいです。



2011.11.2


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