Commemoration | ナノ


テンプテーション(アルレイ)









アルヴィンと、こうして寄り添いあい、肩を並べていることも、少なくはなくなった。

レイアがアルヴィンに寄り掛かるというよりかは、アルヴィンがレイアの肩に寄り掛かる事が多い。
ベッドを背もたれにして、二人はまたこうして、同じ時を過ごしている。

アルヴィンにこうされることが、レイアは密かに嬉しく、彼に愛しさを感じていた。
彼の肩を抱こうとしてはみるものの、広い背中を超えるほどの手の長さを持ち合わせてはおらず、背中を撫でる所で終了する。

彼は甘えん坊だなとレイアは思う。

生い立ちから、複雑な環境を生きてきた上に、母親も亡くして、大人だから、男だから、泣かないように、表面に出さないように、してきたつもりなんだろう。

そんなことしなくていいよ、とレイアは言った。

アルヴィンがカッコつけていたい気持ちもわかるけど、それは本心じゃないよね、本当は誰かに寄り掛かりたくて、堪らないくせにと、挑発した時もある。

少し、ミラみたいかなと、内心思ったりもしていたが、思っていることは、言わなきゃ伝わらないし、わかるはずがない。
レイアはアルヴィンのことをわかりたいと、知りたいと望んだから、彼に頼ってほしかったから、ストレートに言葉をぶつけた。

その時、彼は初めて、レイアに寄り掛かり、下半身の力が抜けて、足を落とし、レイアを抱きしめていた。
体は震えていた。それは今でも覚えている。



レイアの傍にいると、不思議なくらいに落ち着いた。
何度夜中に連絡して、呼び出して、こいつ捕まえて、勝手に癒されていたことか。

けれど、欲求というものは、ひとつを満たせば、今度は次の段階に行きたがる。

レイアがアルヴィンを受け入れてしまったから、寄り掛からないと決めていたアルヴィンは、レイアに寄り掛かるようになってしまった。

今度は抱きしめたいと思うようになった。
寄り掛かりながら、そっと、背後から腕を回して、彼女の腰付近に片手をつき、もう片方の手は、彼女の脚付近に置いて、自身を咎めた。

そうすれば、次の欲求は、レイアと肌を重ね合いたいというものだった。


レイアが、そこまで赦してくれているのかどうかは、アルヴィンにはわからない。
寄り掛かれば、レイアの反応を伺い、徐々に、そのタイミングを計らい、近づけていく。


レイアを抱きしめたくて、うずうずしていた両手は、少しずつレイアへと近づき、片方は腰に、片方は脚に触れる。

「あ、アルヴィン君………」

「嫌、だったか」

「嫌じゃ…ないよ……」



体に触れられた手は、徐々に力が込められ、レイアをしっかりと掴む所にまで至った。



「えっ………」

「ダメか」

「え……と…………」



アルヴィンは更に体重を上半身に込めた。
翡翠色の瞳を見つめながら起き上がり、背後のベッドへとレイアを追い詰めていく。
レイアが両手を伸ばし、アルヴィンの動きを止めようとした。


「何…するの……?」

「聞いちゃうのか」

「聞くよ、だって、この体勢って………」

「セックスするとでも思ったのか」

「っ………!!」

「俺とするの、嫌?」




完全にレイアをベッドへと追いやる事に成功した。
アルヴィンはレイアの茶色の髪を撫でながら、ヘッドドレスを取り払い、床へと落とす。
こうまで近づいて、ベッドへも連れていけて、まだ遠慮する自分がいるのかと言われれば、それは大間違いである。



「聞いて……ばっかりなんて……ずるい……」

「ん?どうなんだ?」

「……したいの?」

「聞いてんのに質問で返すのは、よくねえな。言っていいのか、したいに決まってるだろ」

「う……………」

「どうなんだ、答えなかったらキスするぞ」

「…し……したい………よ」

「サンキュ、お嬢さん」




様子を伺いながら、というのは、反則になってしまうのかもしれないが、レイアを大事に思う彼にとっては、これが最良の策であり、了承を頂けた瞬間、肩の力が抜けた。

あとは、レイアを、十分に感じるだけである。






―――――――――
アルレイで裏一歩手前の話(ウカ様)

コメントありがとうございます(*^.^*)
いつもお越しくださっているみたいで、ありがとうございます!私もアルレイを書く事ができ、こうして読んで下さって、本当に感謝としか言いようがありません。
運営もマイペースですが、頑張っていきたいと思います。

今回はリクエストありがとうございました!拙い文ですが、楽しんでいただけると嬉しいです。



2011.10.28


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