※束の間の夢-after-(アルレイ)
※少ないですが要素あり
「さ、さっきの続き、して…くれないの?」
物置に閉じ込められて、やっと解放され、外に出られて直ぐ、レイアはアルヴィンに問う。
閉じ込められていた間、何をしていたのかといえば、あれ程、キスはダメだと言ったのに、キスをされ、そしてその後も、もしかしたら、そういう事をしてしまうのかと、アルヴィンの次に起こす行動が、とても気になって仕方がなかった。
この狭い、二人だけの世界の中で。
だが、レイアが想像している事以上が、ここでは起こらなかった。
アルヴィンがした事は、レイアを後ろから抱きしめた、だけ。
レイアを自身の中に包み込んで、レイアの肩に顔を埋める。
それだけでよかった。
彼女に触れていたかった。
鎖骨付近に回されている彼の腕を見て、狭いし、こんな男の人の腕に包まれてしまったら、暴れることなどできない。
けれど、この包まれている安心感が、恥ずかしがっていたレイアを、穏やかな気持ちへと変えていく。
だからレイアも、アルヴィンの腕に触れ、束の間の幸福に浸る。
このまま、誰も来なければいいのにとさえ、思わされた。
物音がして、つっかえ棒が外されている音を聞き、アルヴィンが腕を離した瞬間、残念がっている自分がいた事に、ただ、驚くしかなかった。
外に出て少し歩いて、レイアはアルヴィンの服の裾を握る。
握られた感覚を知って、アルヴィンは足を止めた。
レイアは俯き、何かを言いたそうにしている。
手が自然に動いてしまっていた。
これで終わりだなんて、嫌だって、そう思って。
でもこの気持ちを、どう伝えればいいのかが、わからない。
もっとあなたが欲しい、なんて、そんなこと、絶対に言えない。
沈黙が辛い。
アルヴィンも何も言ってくれないし、本当にどうすればいいものか。
「ねえ」
「どうしましたか?」
レイアが何かを言いたそうにしているのは、わかっていた。
そして、何を求めているのかも、定かではないが、アルヴィンには予測もできていた。
だから、何も言わなかった。
レイアが言ってくるのを、待とうと思った。
いつも自分から、というのがほとんどの中で、もしも彼女から、自分を求める何かの言葉を耳にすることができたら、それだけでテンションの上げ下げが変わる。
無論、女なら誰でもいいというわけではない。
好意を抱いている女性からの言葉は、別格だ。
「レーイア?」
早く、早く言えよ。
アルヴィンの体全体が、疼いていた。
わかってるから、一言でいいから、早く、言葉を頂戴。
「あの……」
「んー?」
「さ、さっきの続き、して……くれないの?」
アルヴィンの予感は的中だった。
レイアが自分を求めてくれている。なんて幸福だろうか。
その言葉を言うことも、彼女にとって、どれだけの勇気を振り絞って言ったのかどうかも、アルヴィンにはわかっていた。
ああ、でも、ようやく彼女から聞くことができた。
本当に、こいつは。
抱きしめた時に、自分がどれくらい、全身に脈打ち、震えていたか。
レイアの温もりが、レイアの肌が、匂いが、彼全体を支配する。
くらくらした。
どうにか堪えることはできたが。
それ以上を欲していたことも、また事実。
「するよ、俺は、言ったことは実行しなきゃ、気が済まないんでね」
ほらな、俺の勝ちだ。
顔を見上げたレイアは、アルヴィンの勝ち誇ったような笑みを見て、そう言っているかのように見えた。
そしてレイアは、敗北を味わったようで、悔しがっていた。
そして数時間前までに、触れ合っていた温もりに、また、浸かる。
そう、これだと肌が重なり合った時に酔いしれた。
先程、拒んだキスも、今度はたくさんしてほしかった。
やはり狭い空間の密着が、レイアの触れ合いたい気持ちを高ぶらせた。
アルヴィンの触れる指、ひとつひとつが、丁寧だ。
「さっきよりさ、積極的になってねえか?」
アルヴィンから離れようとしないレイアに、アルヴィンは驚きつつも、顔は多少綻ぶ。
「アルヴィン君のせいだもん」
「俺?なんで?」
「だって、あんなに優しく、ずっと抱きしめられたら、もっと、こうしていたいって、思っちゃったんだもん」
そう思えるほどの、恋をしている。
アルヴィンが嬉しく思ったのか、今日の行為は滑らかで、ゆったりとしていた。
閉じ込められていた時は、外を気にしなくてはならなかったが、今は気にする必要もない。
束の間の夢は続く。
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アルレイで束の間の夢の続き(藍様)
こんにちは、いつもありがとうございます(*^.^*)
温かいお言葉もありがとうございます…!本当に夢ではないかと思ってしまいます。
これからもマイペースですが、私なりに頑張っていきたいと思います。
今回は、リクエストありがとうございました!拙い文ですが、楽しんでいただけると嬉しいです。
2011.10.23
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