Commemoration | ナノ


もう一度あの場所で(アルレイ)




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アルレイ同い年17歳で幼なじみ







アルヴィンとレイアは、幼少期からの同じマンションで家は隣同士の幼なじみだった。

中学生の時に、彼が家の都合で引っ越してしまい、しばらく会うことはなかった。
最近になって、父親から「隣に誰かが引っ越してくるみたいなんだ」とレイアは聞かされる。


誰か来るんだ、とレイアは思ったものの、内心複雑で仕方がない。

だって、隣の家は、自分と幼なじみであるアルヴィンとの思い出が、たくさん詰まっている部屋だからだ。

彼がここを去ってから、隣には勿論行くことができなかったものの、彼の家の間取りは今までも覚えている。

自分の部屋と彼の部屋は、たった壁一枚で仕切られていて、コンコンと壁が叩かれれば、深夜でも、窓を開けて、朝になるまで、話しこんでしまったこともある。


別れの時は、あまり実感がわかなくて、彼がわたしに「お前と仲良くできて、よかった」と言って、手を差し延べてくれた。

わたしは絶対泣くもんかって思っていたのに、彼がいなくなる、もう会えなくなるって思ったら、涙が溢れて止まらなくなってしまって。


「泣くなよ、バーカ」


わたしと同い年な彼に、頭を撫でられてしまった。

本当は泣きたいくらいの感情を抱えていたのは、彼だったのかもしれないのに。




「行ってきまーす」



いつものように、レイアは学校に向かう為に、ドアを開けた。

隣の部屋のドアが開いていた。引っ越してきてしまったのかと、レイアは開いているドアから、顔を出し、不法侵入とわかってはいたが、つい足を踏み入れてしまった。


たくさんの段ボールの山々が、部屋の中央に敷き詰められている。

その山々を見た時、レイアは、バカだなと思っていた。


もう、面影も何もなくなってしまった。

いつもわたしを出迎えてくれた彼の残像が、動き回っている。



今、元気にしているのかな。

手紙を送っても、返事も返ってこないし、状況が状況だけに心配になる。



もう少しで、入居者が戻ってくるかもしれない、レイアは早急に部屋か立ち去ろうとする。

その時、ドアの向こうに誰かが立っていた。



「え………………」



レイアは持っていたカバンを床に落としてしまう。
声が出なかった。


背が伸び、幼さがなくなっていても、わたしが彼を間違えるはずがない。



「アル………くん?」



そう、間違いなく、今目の前にいるのは、幼なじみである、アルヴィンだった。

数年ぶりの再会だ。

想像を超えるほど、彼は逞しく成長していた。




「……レイア、か」

「う、うん!そうだよ、レイア。え、もしかして、ここに越してきたのって……」

「そう、俺」

「それならそうだって、連絡してよ、わたし、びっくりしちゃったじゃない…………」





久しぶりに会ったせいか、上手く話をすることができなかった。
彼とまた会えて嬉しい、また話をしたい、話を聞きたい、いろんな気持ちが喉の奥から出てきそうだった。


アルヴィンはドアを閉めて、鍵をかける。

えっ、と動揺したレイアだったが、次の瞬間、レイアはアルヴィンに抱きしめられていた。

こんなこと、物心がつく前には、していたことかもしれないが、さすがに、小学生後半以降は、されたことはない。



「アルくん……どうしたの……痛いよ………」



本当に力いっぱいに抱きしめられているから、レイアは身動きを取ることができない。

何かあったのかな、と思った。

もし、こうすることで、アルヴィンが落ち着くのであれば、それでいいと思い、このままでいた。





(やばい思わず、手が………)


困っているのは、アルヴィンもだった。
久しぶりに再会した幼なじみが、あまりにも綺麗になっていて、幼い頃から、彼女に恋心を抱いていた自分にとっては、我慢ができなかった。


絶対レイアが変に思っただろう、今までひた隠しにしてきたのに、ここであっさりばれてしまうのは、まずい。


柔らかい体、彼女の匂い。


ずっと、抱きしめていたい。





左手に付けていた腕時計が、アルヴィンを正気に戻させた。
もう離さなければ、彼女が学校に遅刻してしまう。


離したくなかったが、アルヴィンは体を離した。



「ごめんな、久しぶりにレイアに会えたから、つい」

「も、もう、びっくりしたじゃん、何かあったのかと思ったよ」

「わりいな。あ、ほら、早く学校行けよ、遅刻するぞ、俺は明後日からだから」

「え、あ、やば!!じゃあ、帰ったら、また遊びに行くね!!」



鍵を開け、レイアは勢い良く飛び出して行ってしまう。
ドアがまたバタっと閉じ、アルヴィンはドアに寄り掛かり、手の平をじっと眺めていた。

レイアの体の感触が、まだ残っている。


いろいろとやばいかもしれない、レイアが帰宅するまでに平常心を取り戻さなければと、アルヴィンは段ボールの山々を片付けはじめた。





―――――――――
アルレイ現代パロで、甘々かほのぼの(レイ様)
タイトル・異邦人

現代パロということでしたので、アルレイ同い年幼なじみで書かせていただきました。
今回はリクエストありがとうございました!
拙い文ですが、楽しんでいただけると嬉しいです。




2011.10.17


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