Commemoration | ナノ


行き過ぎた行為(アルレイ)






最初は、まさか、と思った。


俺の勝手なイメージだったが、嬢ちゃんは、怖いもの知らずだと思っていたわけで。


それを知ったのは、大荒れの天気になった時。
雨粒が想像を超えるくらいの大きさの雨が降り、やがて大きな雷が鳴った。

ミラ様は無表情だが光る度に楽しみ、エリーゼ姫も最初は怖がっていたが、やがて一緒になって、雷を見ては、綺麗だという。

青少年やじいさんは、やはり男だ、しばらく先には行けないねと、今後の行き方を相談し合っている

(青少年は、もうちょい、子供らしさを出してもいいと思うが)


それで、俺は、真っ先にはしゃぎそうだと思っていた嬢ちゃんの方を見る。


「うわー、すっごーい!!!」



ほら、やっぱり。
俺の予想通りの反応をしている。

やれやれ、うちのメンバーは、雷が怖いっていう女子はいないのか。

数十分たっても、雨も雷もなる気配はなかった。



「わたし、ちょっと、トイレに行ってくるね」



とレイアが部屋を出ていった。
ちょっとレイアと二人で話でもすっかと思って、俺も、いつもの生理現象を理由に使い、部屋を出ていく。


途中、廊下に疼くまっている、レイアを見つけた。

雷が光ると、びくっと震えて、音が鳴ると、「ひゃっ」と声を抑えつつも、悲鳴を上げている。


これはもしや、と思った。


俺は彼女に気付かれないように、そっと近づく。
わっ、と耳元で囁き、体をとんっと叩いた。


「いやっ………!!!」



レイアが叫ぶと、また更に小さく縮こまって、耳を抑えていた。
それを見て思ったんだ、こいつ、もしかして、雷が苦手なんじゃないかって。

なら、何故、幼なじみのジュードが、それを知らないんだろうと疑問にも思った。

けどさ、確か、ジュードに心配させないように、こいつは振る舞っていたんだろ?
だったら、言ってなくても不思議ではねえよな。

そうか、俺ってもしかして、こいつの弱点、握っちまったんじゃね?


「なんだよ、レイア。そんなにビビって」



俺はにやにやしながら、レイアへ話し掛ける。
やばいと思ったのか、レイアはすぐに、立ち上がって、


「だ、誰だって、後ろから驚かされたら、びっくりするでしょ!!」


と、俺に指差しながら、訴える。
強気でいるのもいいけど、両足がガクガクに震えてるんですけど。


ジュードも知らない、こいつの弱点、ねえ。


これは参った、たまんねえな。

今いる中で、俺しか知らないなんて、なんか特別って思えるよな。


それに、こいつは、からかうと本当に面白い。


しばらくこの天気は続きそうだし、からかって遊んでやるのもいいかもなと思った。



「なら、さっき、なんで、しゃがみこんでたんだよ」

「な、なんのこと?」



ほら、やっぱり、ごまかした。

けど、徐々にボロが出てくるな、こりゃあ。


容赦なく、また雷は光った。

反射的にレイアは、耳を塞いでいた。
数秒後に、物凄い雷鳴が、通路全体に響き渡った。


「うー……………」


おや、また、足がガクガクに震えちゃってるよ。
怖いなら怖いって、素直に認めればいいものの、そんなに認めたくないのか。

相手はこの俺だっつうのに。

俺には、弱点とか知られてもいいんじゃねえの?



「何で耳塞いでんの」

「ま、また、アルヴィン君が、わたしを驚かせてくるんじゃないかと思って」



嘘だ。
なんでそんなこと聞いてくるの。
隠してたのに、バレちゃったからしょうがないけどさ、

そんな言い方されたら、本当は怖いなんて言えないじゃん。

雷も止まないし、早く部屋に戻りたいのに、みんながいれば、いつものわたしになれるし、部屋もここより明るいし、大丈夫なのに。

お願いだから、早く、そこをどいて。部屋に返して。



「おー、とうとう停電になったか」

「え………」



本当だ。
雷のせいで、通路も真っ暗になってしまった。
怖い、怖い、どうしよう。


「よかったなレイア、暗いから綺麗な稲妻が見えるぞ」

「えっ……」

「せっかくだし楽しめば?俺、先に行くから」



やだやだやだ、待って、行かないで。
ねえ、わかってるんでしょ、この状態でわたしを置いていっちゃうの?

無理だよ、怖いよ、酷いよ。



「う、ひっく…………」



レイアは床に座り込んで、そこから動かなかった。
涙が止まらない。ごまかしていた自分が悪いのはわかってはいたが、気づいてるなら、優しくしてくれてもいいじゃん、どうしてこんな態度取るの、と思って、いつの間にか泣いてしまっていた。



「げ、マジかよ………」



アルヴィンはレイアの泣き声を耳にして、振り返り、急いで駆け寄った。
やばい、マジで泣いている。まさか、泣かせてしまうとは思わなかった。


「う……わああぁん……!!」

「レイア、泣くな、悪い、悪かったよ………」

「っく……ご、ごまかした、わたしも、悪かったけど、か、からかうこと、ないじゃん、置いていかなくても、いいじゃん………!!バカバカ!!」


レイアはアルヴィンの胸板を、これでもかというくらいに、ぽかぽかと叩きまくった。
ちょっといじめたつもりだったのだが、彼女を泣かせてしまったことには、本当に反省した。


だから、アルヴィンは、本来とるべきである行動をとって、償おうと思った。

それは、レイアをぎゅっと抱きしめること。
そして、自分にしがみつかせること。


「ごめんな……」

「も、もう、いいよ」

「一緒にいるから、な、俺と一緒なら、怖くないだろ?」

「…………うん」






これから、雷が鳴った時は、俺が真っ先に、彼女の所に行かないとな、と思った。
からかいたのは山々だが、もう泣かせるのは御免だ。





――――――――
アルレイでレイアの弱点を知ったアルヴィンが喜び、苛めるものの、レイアを泣かせてしまい、でも最後はハッピーエンド(あすか様)


あすか様、こんにちは。いつもありがとうございます(*^.^*)
そうですね、私も同志がたくさんいらっしゃること、嬉しく思います。
叫んでも叫び足りない(笑)アルレイー!!!
今回、雷弱点という設定にさせていただきました。
うまく、まとまってなくてすみません(汗)

またお待ちしてますね、私も頑張ります(^O^)
今回はリクエストありがとうございました!
拙い文ですが、楽しんでいただけると嬉しいです。



2011.10.15


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