「元親さん…?」



やっぱりダメなのだろうかと、首を不安気に傾げる、元親の前に立つ女―――
最後の確認とばかりに、元親は訊ねる。


「名…お前ェ、もし俺が無理だっつったら…どうすんだ?」


「それは…
船の、他の方に―――」


「だぁぁぁ―――ッッ!」


「えっ!…?」

ガシッと名の両肩を掴んで

「…分かった…」


『俺が教えてやる』
そう言えば、名の表情は先程までの不安気なものから一転、ぱっと明るくなる。

「ありがとうございます!」



元親は考える。

(ダメだ…コイツの警戒心のなさは…
危ねぇ…危な過ぎる…)


例え己の信頼する仲間達とは言え、揃いも揃って海の荒くれ者ばかりだ。
そんな男達が皆、海上にいる間はずっと女っ気無しで過ごしているのだ。
こんな無防備な女をふらふらさせてりゃあ、万が一間違いがあったとしてもおかしくはない。


(やっぱ…俺が守ってやんねェと…)


「元親さん?」

「あ、ああ…」


先に中へと入り、遅い元親を不思議に思って戸口から顔を覗かせる名を見つめながら、
自身にとってもかなり厳しい戦いになるであろう、この先の、理性と本能のせめぎ合う毎日を思って、元親は深く溜め息をついたのであった――――――







(―――っと。これで終ぇだ。)
(やっぱり帯は難しいですね…)
(まぁ… で、ちょいとばかし聞き辛いんだがよ…
名、お前ェ…生娘だよな?)
(―――ッ!へ…!?////元親…さんっ、何で…そんなっ!/////)
(はぁー… やっぱりな…)
(えっ…えぇえ…っ/////!?)







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