まずはじめに、ハッキリと言っておく事がある。
私にはあのかの有名な“トムリドル”と友達である。
その理由はその“トムリドル”が私のことを純血だと思っているからだろうし、私の八方美人を知っているからだと思うけど。
そもそも、私は純血ではなかった。

スリザリンになり、少なすぎず多すぎず友達もいて、成績は良くはないけど悪くもないという本当に模範的な生徒だと自負していた。

だけど、なんというか。
とても言いにくいのだけど、その。


純血って処女の事だと思ってた。


私は純血のスリザリンの養子だ。子供が出来なくて悩んでいたご夫婦に、黒髪の、自分達によく似た私を引き取ったと言っていた。ホグワーツに入学する前に、必ずスリザリンになりなさいと口煩く言われていて、“高貴な振る舞い”をしなさいとマナーも叩き込まれた。決して苦じゃなかったけど、両親はひとつだけ教えてくれなかったのだ。
純血ではないものは汚れている、といつも言っていたけど子供ながらに「お母さま、純血とは何ですか?」と聞くと必ず私を抱きしめて「私たち、そしてあなたの事よ」と言っていた。
だから、私は自分を純血だと思っていたし、思春期を迎える頃はそれが処女の事だから周りが言葉を濁していたのだと結論付けた。

そう、そして、あの時も。


「君、有名なスリザリン一族の末裔だと聞いたよ。僕はトムリドル」

「初めまして。あなたも純血?」

「…君と同じで、純血しか認めないものだ」

「そう、素敵だね。同じだわ」

にこりと自然に笑った彼があまりにも綺麗で、目が奪われたのをよく覚えている。


戻る 次へ
トップ