中庭に行くと、リリーはスリザリン生と話していた。なんなんだ、と若干苛立ってしまう。
燃えるような妖艶な赤髪に、意志の強い眉毛、綺麗なアーモンドの形をしているまつげの多い優しい瞳、さらには寮を問わず友達も多く誰にでも優しくする性格。本当に、憎たらしいほどに彼女は綺麗だった。
「あっ名前!探したのよ!ごめんねセブルス、行くわね。またね」
「ああ」
「もう、どこに居たの?あなたって、いつも遅くまでご飯を食べる事が多いから大広間でずっとまっていたのよ」
「あ〜、ごめん。談話室でバカ達と話してたの。図書室に行きたかったのにシリウスのバカがバカだからさ」
「…名前って、やっぱりシリウスが好きなの?」
「………はぁ?」
「だって彼、ハンサムだし」
「それ何度も書かれてるけど、あのバカとはそういうのじゃないよ。好きな人居ないっていつも言ってるじゃん」
「…ホントに?よかった!私、名前に好きな人ができたら妬いちゃうわよ」
私は、腕に絡みついてニコニコと笑っているリリーがずっと嫌いだった。私とは全てが真反対なのに、親友はあなただけよ、だなんて言ってどこに行くのもくっ付いて来る。全ては比べられてきたし、全て…今まで好きだった人も、得意だった教科でさえも彼女に取られてしまった。それでも彼女はニコニコと嬉しそうにしているのだ。
現に、いまも。
リリーはきっと、私がジェームズを好きなのを知っているし、ジェームズがリリーを好きなのも知っているのだ。
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