それから2ヶ月後の事でした。

「“スニベリー”のパンツを見たい奴はいるか!」

「泣き虫“スニベリー”!お得意の魔術を見せてみろよ!」

呪文学が終わり歩いていた時、中庭には人だかりが出来ていることに気が付きました。ざわざわとしていますが、その中には愛おしいシリウスの声も聞こえてきました。その声を聞いて、私は引き返してた体をぴたりと動きを止めそちらに向かいます。

「なにが…起きているのですか?」

「ああ、君か。スリザリンがいじめられているんだ」

「あの“悪戯仕掛け人”が仕掛けたのよ!」

「今ちょうど、スリザリンとの決闘が始まるんだよ。面白いところに来たね!」

「無断の決闘は認められていません。退学になります。もしかして、シリウスは…そこに居るのですか!?」

他人事のように楽しそうな声をあげてヤジを飛ばす方々をかきわけて、私は中庭の中央へと向かいました。そこには変わらず制服を着崩しているシリウス、ポッター、そして少し離れた場所に2人の方が居ました。


「シリウス!!」

私の声は、まるで届いていません。

「へえ。杖を出すとは、僕達とやろうって言うのかい?面白い。君の得意な闇の魔術を見せてよ」

「そんな魔術じゃ自分の身さえ守れない事を証明してやる。かけてみろ」

シリウスは随分と挑発的に笑っていました。それでも彼を見ただけで、私の胸はどきりどきりとうるさく鳴っています。シリウスもポッターもスネイプに杖を向け、また、スネイプも顔を真っ赤にして杖を向けていました。スネイプが怒っている事だけは一目瞭然でした。


その時でした。
チラリとスネイプと目が合うと、彼は少しだけ口の端をあげ、ゆっくりと私に向かい指をさしました。





「“婚約者”にカッコつけたいだけか?」



その言葉は、シリウスを馬鹿にした言葉のようでした。
シリウスは怒鳴り声をあげ、あろうことかスネイプに呪いをかけました。吹き飛ばされ、スネイプは木に強く体を打ちつけます。私を含め、周りにいた者はあまりにも一瞬の出来事で…少しも動けませんでした。

シリウスは言葉にできないような悲痛な怒り声で、スネイプを罵倒します。みんなの目線が、シリウスと、それを落ち着けと促すポッターに注がれました。
私はふいにスネイプを見ました。その時でした。





「ステューピファイ!!」


私は無意識に動いていました。
スネイプが放った稲妻は、私の胸を貫きました。
シリウス、あなたを庇ってしまったら、またあなたは…怒るのでしょうね。ごめんなさい、シリウス……。


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