ずっと、考えている。考えるまでもないのに、それでも頭からリドルの事が離れなかった。明らかに前とは少し変わったリドルが心配、心配でたまらなかった。いつも間にか一緒に居るのが当たり前になっていたし、それを望んでいて、心地よかった。
それが、突然1人でどこかへ行ってしまう事が増えて、私に向かって子供のように笑う彼も見なくなってしまった。

彼の力になれるのなら、それが私に出来る事なら、してあげたい。

それが結論だった。




「そう、それで来ちゃったんだ」

「……リドル。」

「名前に記憶の改ざんをしなかったせいで、そのままでいて欲しかった君に…心配かけてしまったんだね。これは……僕のせいだ」

「…ねえ、リドル」

「…かわいそうな名前、僕に記憶を見られてるとも知らずに」

「…記憶って、なんの話」


「君が純血じゃない事も知っていたってことさ。同じ境遇だからと思っていたが…もう意味もない」

「……」



「君が僕のためになりたいのなら、そうしてあげることが君の幸せになるんだって気付いたんだ」



リドルの手は相変わらず冷たかった。
その手は私の頬を触れ、優しく撫でた。


「何の……話かわからないけど、リドル。これだけは聞いてほしい」

「なんだい、名前」




「私は…リドルが好きよ。だから…これから起こる事は、私は、“愛”と思っている。それが……それが私なりのあなたへの、」


















その日起きた事は、誰も知らない。
リドルが優しい目で名前を見ていた事も、それが何かを気付くのが怖かった事も、この先誰も知ることはない。

おしまい。


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