1年、また1年と月日が経つにつれて、リドルとは更に仲が深まっていった。私も素で居られるようになったし、リドルもわざわざ私に愛想笑いや話を合わせるという事もなくなっていった。お互い自由に、そして自分らしく居られる素晴らしい関係性だった。
「最近、顔色が悪いわ」
「なんでもないさ」
「またそれ?もう何度も聞いたわよ」
「わざわざ名前に心配かけないようにしているのさ」
「心配はね、勝手にするのよ」
リドルが私の手を引っ張って、彼の膝に私を座らせた。じっとその深い色の目で見つめられて、どきどきと心臓が音を立てている。静かだ。静かすぎて、この音がリドルにも聞こえてしまいそう。
「君は、そのままでいて」
「私は変わらないよ。ずっと」
「……。」
度々、リドルは私に縋り付くかのように、抱きしめる事があった。
「僕と名前は付き合っていないけど、君の事を大切に…思っているのは本当だ」
そうして、そう言われる事も、何度かあった。
「リドルは変わってしまう?」
「わからない。変わりたくはない」
「なら、恐る事はないのに」
「君がかわりに恐れてくれるかい?」
「……変なこと言うのね」
「…そうだな。変だ」
「私も、リドルが大切よ。全てはかわってあげられないけど、私に出来ることはしてあげたいわ」
「…本当に?」
「本当に。」
その時のリドルの表情は子供のようだった。本当に?と言ったその顔は、不安に満ちているのか、それとも期待をしてしまっているのか、読み取れない。それでも、吸い込まれそうになる彼の雰囲気と魅力はそこに全てあった。
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