06





じりじりと照りつける太陽に家から出てまだ5分も経たないのにもう帰りたい。
夏休みということで、家から1歩もでなかったり、出ても庭先だけで済ませてしまうゆずを見かねたブン太が、「明日から部活の日は12時にテニスコートへ弁当を持ってくること」と強制的に約束させたのだ。

立海まで歩いて20分。
学生証を見せれば私服でも入れるので今日は私服だ。
こんな暑いなか制服なんてぜったいに着られない。
そんなことを考えながら歩いていればあっという間にテニスコートに着いた。


あ、ブン太試合してる。
幸村くんこんな暑いのに涼しそうな顔してるすごい爽やかださすが。




「あ!ゆずじゃんなにしてんすか!」

フェンス越しにぶんぶんと手を振ってくる赤也を見るのはすごく久しぶりだ。
あーかわいいかわいい、今度頭わしゃわしゃさせてもらおう。



『赤也だー!ちょっと見ない間に大きくなったんじゃない?』

「ゆずよりはとっくに大きいっすけどね!」

『せっかくデザート持ってきたのに赤也はいらないのか残念』

わたしがそう言えば、ごめんねポーズを取りながら謝ってくる。
とっくにって言うか、赤也と知り合ったときにはすでに身長抜かされてたけどね!
これでも春の身体測定では1センチ伸びて153センチになったんだぞ!きたこれ成長期!

幸村くんの集合!の声にテニスコートにいた人たちが集まっていく。
それから5分ほどしてブン太がばたばたと走ってきた。




「腹ペコだぜい」

『おつかれさまー。わたしも一緒に食べていい?』

今日はピクニック気分でお昼ごはんを一緒に食べようと思っていたから、重箱弁当なのだ。重たい。




「もち。早く行こうぜ!」

ブン太の視線の先には、他のレギュラーメンバーたちがいつも通り円を作るように座っていた。
大きな木の下で、ほんとにピクニックみたいだ。




「二ノ宮さんも丸井に振り回されて大変だね」

『あはは、もう慣れちゃったよ。あ、みなさんもよかったらつまんでね、たくさん作ったから』

1段まるまる肉づくしにしておいて正解だったな。
どんどんおかずがなくなっていくのを見るのは気持ちがいい。



『デザートはレモンゼリー持ってきたからね』

「ゆずのレモンゼリー食うと夏ってかんじするよな」

『柳くん甘いの得意じゃないって言ってたからあまり甘くしてないんだけど、はちみつジュレあるからお好みでどうぞ』

「悪いな」

『みんなでおいしく食べたいからね』

「なんか柳が特別扱いされてるの妬けるなぁ・・」

『え?』

幸村くんがにこにこしながらやける?ってどういうことだ?
幸村くんも甘いの得意じゃないのかな?
レモンはきらいだったのかな?




『幸村くんレモンきらいだった?』

「そんなことないよ?」

『?』

「ゆずちゃん勉強はできるけどばかじゃからな」

「幸村君、ゆずめちゃくちゃ鈍感だぜ」

「ふふ、たのしみだなぁ」

うーん、よくわからない。
あとでブン太に聞いてみようかな。




『ちょっとわたしの目の前で悪口とかやめてくださーい』

「悪口言ったのは仁王で俺じゃないよ」

ふふ、なんて幸村くんは笑うけどこんな空気になったのは幸村くんのせいじゃないの?
なんか仲間はずれにされた気分だ。




『仲間はずれよくない』

「仲間はずれになんかしとらんぜよ」

『あしたのデザートのコーヒーゼリー、仁王くんのだけ超にがいのにしてやる』

「いじめよくない」

『いじめなんかしてませーん!』

最初はめんどくさいって思ってたけど、みんなでごはんも、こういう雰囲気もいいかもしれない。すごくたのしい。




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