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「ゆず入学したんすか!えー、俺も会いたかったっす!」

中高合同で練習試合をしてた土曜日のお昼休憩のとき、この前の昼休みの話題になれば赤也がどうして俺も呼んでくれなかったんすか!と叫ぶ。




「おまんは中等部じゃろ」

「えー、でも昼休みくらいいいじゃないっすか」

「ケーキ屋行けばいつでも会えんだろい」

「あ、そっか!じゃあ今日の帰りにでも行きません?」

赤也以外のレギュラーが揃って高等部に行ってしまったため、いままでとは違う雰囲気をさみしく思う赤也は前にもましてかまってちゃんだ。




「む、寄り道せず帰らんか!」

「いいじゃないっすかー、今日の練習試合もぜんぶ勝つんで」

口をとがらせて言う赤也に、勝つのは当然のことだ、と言う真田もなんだかんだ赤也には甘い。




「赤也は二ノ宮さんのこと知ってるんだね?」

「丸井センパイの家に行くとよく余ったケーキとかくれるんすよねー」

「赤也も餌付けされたってわけか」

俺は犬じゃないっすよーなんて言う赤也を見てくすくす笑う。
俺も二ノ宮さんのお菓子の家行ってみようかな。





「でもなんで、二ノ宮さんは俺のこと幸村さまって言うのかな」

神の子、なんて俺のことを揶揄するひとはいるけれど、神だと言うのは二ノ宮さんだけだ。
去年のテニスの大会に丸井の幼なじみが来てるとは聞いたけど、ちらっと顔を見ただけで話したことはないはずだ。
現に丸井に言われて思い出したくらいだし。




「試合のあとすっげー泣いてたんすよね!」

「俺とジャッカルの試合のあとも、大会終わったあともずっと泣いてたぜ」

「ブン太も俺も泣けないだろうからってな」

わんわん泣いてたゆずのことをジャッカルは思いだす。
プラチナペア。立海のD2。
俺たちだって負けるはずがないと思っていた。
幼なじみのブン太だけじゃなく自分の分まで泣いてくれるなんてほんとに優しいよな、と。




「んで、幸村君が入院してたのは知ってたけど初めて本物を見たゆずは、幸村君のプレイに感動したんだってよ」

「幸村がコートに立ったときのゆずの興奮っぷりはすごかったのう」

ぐしゃぐしゃの泣き顔が一瞬で真っ赤になっとった・・と仁王はくつくつ笑う。
神が降臨した!後光がさしてる!なんて美しいの!とため息までついていたっけ。



「でも俺、今まで好きだとか憧れてるとか言われたことはあったけど、五感をうばってください!は初めて言われたなぁ・・」

幸村も入学式のあとの出来事を思い出して笑う。
初めて交わした言葉がそれだなんて、一生忘れないと思うな。




「やらかしてしまいました助けてください!!!ってゆずが俺の部屋に入ってきたときは笑ったぜい」

ゆずの部屋とブン太の部屋はバルコニーで繋がっているので、お互いカーテンが開いているときは出入り自由なのだ。




「丸井は二ノ宮さんのこと好きになることはないの?」

「あー、なんつーかゆずは俺の妹みたいな?あいつ3月20日生まれだから誕生日ほぼ1年違うしちいせーから守ってやらないとみたいな?扱い的には弟と同じだぜ。血つながってるし」

「は?」

「俺とゆずの母親が双子」

この前は幼なじみとしか言ってなかったじゃないか。
仁王と赤也は知ってたみたいだけど、それ以外のメンバーはびっくりしてみんなピタッと動きが止まる。
言われてみれば、目とか顔つきはなんとなく似てるかも?



「なんじゃ幸村はゆずが気になるんか」

「おもしろいとは思ってるよ?」

「ほー、珍しいの」

あーあ、幸村に好かれちゃこの先大変になるのう・・なんて思うと仁王はクスリと笑った。




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