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きょうは朝から頭ががんがんする。
無事に試験も終えてほっとしたからか。
昨日の夜はぐるぐると幸村くんのことを考えていたら眠れなくなってしまったのだ。




「あれ、ゆずくまができてるよ」

『うーん、ちょっと寝不足』

珍しい!どうしたの?と心配してくれるまいちゃんに、幸村くんのこと考えてましたなんて言えずに苦笑い。
となりに幸村くん居るからね、ご本人様の前でそんなこと言えません。
授業中もくあ、と何回もあくびをかみ殺してやり過ごしたがそろそろ限界かもしれない。







『ゆず、保健室行こうか』

「大丈夫だよ、ちょっと寝不足なだけだから」

2限と3限のあいだの休み時間、心配そうな顔した幸村くんに言われるもただの寝不足だ。
これで寝たらただのサボりみたいになってしまう。




「熱あるでしょ?」

ぴた、とおでこに幸村くんのてのひらが当てられる。
「あっつ・・」だなんて、どうやらほんとにお熱らしい。
考えすぎて知恵熱かな。
まいちゃんに保健室行ってくるからあとよろしく、と伝えた幸村くんに手をひかれて保健室に連れていかれた。











『・・38.2』

ベッドに寝かされて体温計を渡される。
ピピピの音で体温計にうつった数字に頭がくらくらする。
熱があるとわかった瞬間、一気に体調が悪くなるこれはなんなんだろう。





「こら、なんで無理したの」

『寝不足で頭は痛かったけど、熱があるとは思いませんでした』

「心配するだろ」

『ごめんなさい』

おでこに乗せられた手が頬にうつる。
冷たくて気持ちいい、けど恥ずかしくて頬に熱が集まるのがわかる。
寝不足のせいでいつもよりお肌もかさかさだ。
あんまり見ないでほしいな。





「顔が赤いね。ちゃんと寝てなきゃだめだよ」

ぽんぽんと頭を撫でられて、ゆっくりと落ちてくる瞼にわたしはすうっと眠りについた。















次に目が覚めたのはお昼休み、あれから2時間ほど寝たおかげかだいぶ頭はすっきりだ。
あまり食欲はないけれど、保健室の先生がお茶を入れてくれたのでまいちゃんが持ってきてくれたお弁当をふたりで食べる。



「二ノ宮さんと幸村君って付き合ってるの?」

『っ、ぐ!』

先生の言葉にびっくりして目をぱちぱちさせる。
若い女の先生だからか、一緒のテーブルを囲むとまるで恋バナをする女子高生だ。





「甲斐甲斐しく世話をやく彼氏ってかんじでいいなー」

『付き合ってない、です』

「でもゆずは幸村君のこと好きでしょ?」

「きゃー、やっぱりそうなの!?」

若いっていいなー、なんて言う先生だって充分若いのに。
ってか、まいちゃんにバレてる・・・!






『なんでわかったの』

「いやいや、あんなに好き好きオーラだしてるのにわからなかったのゆずだけだから。自覚したの最近なんでしょ?」

『なんでわかったの』

「授業中幸村君のこと見る回数が増えたでしょ?赤くなる回数も増えたでしょ?あとは・・」

『もういい!もういいから・・っ!』

どうしよう、まいちゃんにバレてたなんて幸村くんにバレるのも時間の問題かもしれない。





「二ノ宮さんかわいいー!」

『幸村くんにバレたらどうしようううう』

「大丈夫、女の子は恋してるのがいちばん可愛くてキラキラしてるんだよ。そのままの二ノ宮さんでいいと思うよ?」

「そうだよ、ゆずはゆずのままでいいんだよ!」

なぜかノリノリの2人に慰められて、ちょっと元気になった気がする。
けらけらと笑ってれば、コンコンと2回ノックのあとに失礼しますと礼儀正しく入ってきたのは話題のど真ん中幸村くん。







「ちょっと熱さがったみたいだね」

『幸村くんのおかげだよ、ありがとう』

「帰りは送っていくからちゃんと待っててね」

『えっ、いいよ悪いよ』

「だめ。先に帰ったら怒るからね」

いい子にしててね、だなんてわたしはいつか幸村くんにときめきすぎて心臓がとまってしまうかもしれない。









「あれで付き合ってないってほんとなの?」

「先生もそう思います?どうみても両想いですよね」

「案外幸村君って奥手なのね」

まいちゃんと先生がそんな会話をしてたなんて、わたしは知らない。




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