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ぽかぽか陽気の春の日に、わたしたちの大切な人だけを集めて挙げた結婚式。
雅治が選んだ海の見える小さなチャペルで愛を誓い、雅治と選んだ真っ白なAラインのウエディングドレスで弦一郎とバージンロードを歩くのはちょっとだけくすぐったかった。
ピンクにきいろにあお、カラフルなフラワーシャワーに、ハルトが一生懸命吹いてくれたシャボン玉。
空に飛ばしたたくさんの風船に、幸村くんが描いてくれたウェルカムボード、びっくりする程大きなブン太のウエディングケーキ。
どこを切り取ってもしあわせで、永遠に続けばいいのにと思えるほど楽しい時間だった。








「綺麗じゃな」

『ありがとう。雅治も、すごくかっこいい』

オレンジ色の夕陽にキラキラと光る海。
ドレスのままさらさらの砂浜に素足を乗せれば、右手をぎゅっと握られて2人で歩く。
タキシード姿の雅治は、まるでドラマの1シーンのようだ。






「ゆずと式挙げるんはここってずっと決めてたんじゃ」

『・・・初めてデートした海の近くだから?』

「わかっとったんか」

『雅治とのデートはぜんぶ覚えてるよ』

「ゆずがネックレスなくしたって騒いで大変じゃったな」

『結局見つからなくて、雅治が新しいのをプレゼントしてくれたんだよね』

「ゆずにあげた初めてのプレゼントじゃ」

『いまも大切にしてるよ』

あの頃に比べたら大人になって、いろんなことを経験して、素直な気持ちをどこかに置いてきちゃったこともあったけど。
雅治と一緒にいられることがこんなにもしあわせで、苦しいくらいに胸がいっぱいで。








『こんなにしあわせでいいのかな』

「なに言っとるんじゃ」

『しあわせすぎてこわいよ』

「ゆずより先に死なないって約束するぜよ」

『やだ、雅治を残して死にたくない』

「わがままじゃな」

くくっといつもの様に笑う雅治に笑い事じゃないよ!なんて怒ってみても笑いは止まらない。
もう雅治なんて知らない、とそっぽを向けば、ぐいっと腕を引っ張られてぎゅうぎゅうと抱き締められた。







「さみしい思いをさせるかもしれん。でも、必ずゆずのとこに帰るから待っとってほしい。嫌なことは嫌じゃってちゃんと言うこと。ひとりで抱え込んで悩むのはなしじゃ。それから・・」

『ふふ、まだあるの?』










「好きじゃ。ずっとずっと愛しとる」

『わたしもだよ、愛してる』

そういえばファーストキスもこの海だったな、なんて思って目を閉じればそっと唇がかさなった。














「仁王センパーイ!ゆずさーん!そろそろ2次会行く時間っすよー!!!」

元気に叫ぶ赤也になんてタイミングじゃ、なんてため息をつく雅治。
どうやらみんなお散歩タイムのわたしたちを待っていてくれたらしい。









「どうだった、弦一郎パパとのバージンロードは?」

『あんなに緊張してる弦一郎は初めて見たよ』

「あーあ、俺もゆずのとなり歩きたかったのに」

『幸村が言うと違う意味に聞こえるからやめんしゃい』

いつも通りのこのやり取りすら楽しくてしょうがない。
みんなでけたけた笑って、今日だけは世界一しあわせなのはわたしだと胸を張って言える。





わたしの大好きな雅治ハルトに、大事な仲間たち。
ここにもうひとりのBabyが仲間入りするのはもう少し先のことだったりする。






*END*

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