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『ねぇねぇ蓮二さん、赤也さんってひとは立海?』

わたしの言葉にぴたりと蓮二さんの箸が止まる。
ぽろりと落ちたぶり大根のぶりに、蓮二さんが落とすなんて珍しいなぁ・・なんてのんきに考えれば、「なんだ急に」と言った蓮二さんの眉間には少しだけしわが寄ってる気がする。


『今日ね、こんなことがあったの』












今日は日直だったので、いつもより帰るのが遅くなった。
部活のあるれのちゃんとは教室でバイバイして、担任のところに学級日誌を届けてから昇降口に行けば、癖のある黒髪の男のひとがうろうろしていた。あやしい。
外部から来たひとは正門横の管理室で許可証をもらわないと入れないはずなのに。




「あー!ちょっとアンタ、仁王さんどこにいるか知らねぇ?」

『・・・わたしですか、』

「アンタ以外に誰がいるんだよ」

念のため周りを見回してみたけどわたししかいなかった。残念。




「ジャッカルさんにはテニスコートで会えたんだけど、あの人昔っからどこいるかわかんねーんだよなぁ」

仁王先生に桑原先生。まさか、この人も・・・




『元立海レギュラー・・・?』

「お?アンタ俺のこと知ってるかんじ?」

『ごめんなさいわかりません』

「まじ!?俺けっこう有名だと思ったんだけどなぁ〜」

げらげら笑う謎の男のひとに正直わたしはどうすればいいのかわからない。
でも、蓮二さんの知ってるひとならあやしくはないはず?





「赤也、なーに女子高生ナンパしちょるんじゃ」

「いって!あー!仁王さんどこ行ってたんすか!」

赤也、と言ってチョップをくらわせたのはふらりと現れた仁王先生で。
あーやっと解放される、と内心ほっとしたのは内緒だ。
びゅーびゅーと北風が入る昇降口での立ち話はとっても寒かった。






「よりによってコイツに声かけるとはのう」

「は?なんかあるんすか」

「参謀から楽しい楽しいお説教コースじゃ」

「なんでなんすか!!!」

わーわー騒ぐ赤也さん?にいつものにやりとした笑みを浮かべる仁王先生。
ふたりは相当仲良しらしい。




『そろそろわたしは帰ってもいいですか』

「おー、気を付けて帰りんしゃい」

ひらひらと手をふる仁王先生と、わたしはなにもしてないのに助かったぜ〜と笑う赤也さん?は案外あやしいひとじゃないのかもしれない。















『桑原先生に会ったって言ってたし、仁王先生とも仲良さそうだったから蓮二さんも知ってるのかなって』

「ゆずの言うとおり赤也は俺たちの仲間だった」

『やっぱり!赤也さんって有名人なの?』

「そうだな、この前俺が観ていた全豪オープンの決勝戦を覚えているか?」

『珍しく日本人が決勝戦に残ったって言ってたやつ?』

「そうだ、その優勝したのが赤也だ。世界ランク3位まできている」

『うっそ、わたしごめんなさいわかりませんとか失礼なこと言っちゃった』

「ふっ、赤也はすぐ調子に乗るからな。いい薬になっただろう」

『今度会うことがあったらごめんなさいしよう』

「では時間があれば家に寄るように言っておこう。ちょうど連絡する用もできたしな」

あとから仁王先生に聞いたけど、赤也さんは蓮二さんとおまけに幸村さんからも楽しい楽しいお説教コースを受けたらしい。
なんで幸村さんも?




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